“コロナで解雇”は法的にアリなのか?抵抗できる場合も多い
非正規雇用者でも「30日前に予告」が必要な場合が
正社員を整理解雇の対象とする前に、有期契約を結んでいる契約社員やパートタイマーをその対象とする場合があります。
いわゆる非正規雇用の従業員を対象とする場合は、それが容易かと言えば、決してそうではありません。契約期間の途中で解雇することはやむを得ない理由がない限りできないこととされていますし(労働契約法第17条)、3回以上契約が更新されている、または1年を超えて勤務している人については、契約更新をしない場合には30日前にその予告をしなければならないとされています。
合理的で客観的な理由がなく、社会通念上相当でない解雇は、会社側による「解雇権の濫用」として認められません。特に整理解雇の場合は、先ほどご紹介した4要件からその正当性が判断され、その結果、解雇自体が無効とされるケースも多く見られます。
ただ、解雇無効とされ労働者側の言い分が通ったとしても、残念ながら元通り勤め続けるケースは少なく、金銭解決の上退職するケースが多いようです。
「感染が怖いのでしばらく休みたい」
昨今の厳しい状況の下、国は融資や助成金等によって経済的支援を行う対応を進めていますが、事態は長期化の恐れが強くなってきました。多くの会社が未曽有の危機に瀕しているとも言える状況です。
一方で筆者の身近な例として、中小規模の会社でも「持病があり感染が怖いのでしばらく休みたい」という契約社員を、無給ではありますが本人の希望どおり2か月欠勤することを認めたケースがあり、精一杯の配慮をしようと努力する姿も見られます。
今回お話したような状況ができる限り少ないことを願うばかりです。1日も早く感染拡大が終息して世の中の混乱が収まり、経済が立て直されことを誰もが祈っているのではないでしょうか。
※編集部注:コロナ解雇などに関する相談窓口
●新型コロナウイルス感染症に関する特別労働相談窓口一覧(各自治体の労働局) 厚生労働省サイト内
●日本労働弁護団 ホットライン
その他、様々なユニオン(労働組合)などに相談窓口がある
<TEXT/澤上貴子>