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都市のロックダウンで何が起きる?昨年には「SNS遮断」も

ビジネス

スリランカはテロが原因でロックダウン

 一方、現在はどうしても「新型コロナウイルス=ロックダウン」のように考えてしまうが、何もロックダウンをもたらす危機は感染症だけではない。例えば、戦争やテロ、暴動などによってもロックダウンは生じる。

 1つの事例として、もうすぐ発生から1年を迎えるスリランカ同時多発テロ(2019年4月21日)がある。このテロ事件は、スリランカ最大の都市コロンボにある高級ホテルなどで同時多発的な自爆テロがあり、250人以上が死亡した。死亡者には、高級ホテルで朝食を摂っていた日本人家族の母親1人も含まれる。

 この事件後、外出禁止令が出され、国際空港や主要駅などを結ぶ公共交通機関が麻痺し、各学校などは閉鎖に追い込まれ、正にロックダウンの状態になった。のちにスリランカ国内で活動するイスラム過激派の犯行であることが判明し、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」も犯行声明を出した。

 これまでに警察は20人超を逮捕したが、いまだに国内には緊張が漂い、観光産業には大ダメージを与えている。

テロで政府がSNSを遮断

PCをいじる男性

 そして、今回の感染症拡大によるロックダウンと大きく異なるのが、インターネットの遮断だ。今まさにニューヨークやパリで起こっているロックダウンをよくみると、確かに通りに出る人々の数は大幅に減ったものの、サイバー空間は日常どおりで、むしろそこの人の出入りは活発になっている。

 だが、テロによるロックダウンはサイバー空間へのアクセスを遮断し、今以上の制限や混乱を市民に課してしまう場合もある。これは、テロリストがネットやSNSを使って連絡を取り合い、テロ計画を進めているという実状があるからだ。

 筆者の知り合いにもスリランカ在住者が多くいるが、このテロ事件の後、いつ再びテロが起こるかという恐怖感とともに、移動が制限され、ネットの遮断によって必要な情報が十分に入手できず、極めて不便を強いられたという。また、テロということで新たな憎悪や対立を生み、いつ自分が狙われるか、暴力に巻き込まれるかといった不安も強かったらしい。

 今は感染症が国難となり、いつそれによるロックダウンが起こるかに世論の注目が集まっているが、中長期的には、テロや弾道ミサイルなどさまざまな危機も想定に入れ、今以上に危機管理を意識していくことが何よりも重要だ。仮に原発テロが起これば、どんな被害が生じるかを想像することは難しくない。

<TEXT/イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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