職場の厄介な“50代バブル世代”とどう付き合う?プライド高いオヤジのトリセツ
出世の決着がついてしまった世代
しかし彼らには会社員としての賞味期限が近付いているのです。食品に美味しく食べられる「賞味期限」と、まだ食べられる「消費期限」があるように、会社員にもそれはあります。
数々の実績を残し現役の部長として現在もバリバリ仕事をこなしていても、60歳定年という賞味期限を会社は設定しています。更に定年再雇用となっても65〜70歳あたりで消費期限が到来します。
会社員の出世は実質的に45歳くらいで決まりますが、本人が自覚するのにタイムラグがあり、それが50歳あたりです。
「部長のポジションまでなんとか滑り込んだので、あと数年で次のポジションを目指そう」という勝ち残り派、「課長をここまでやってきたが、あと1年で役職定年だ」という時間切れ派、「課長まで届かなかったが、まだまだ現役だ」という実務派、「定年までは上手く流していこう」というセミリタイア派に分かれることになります。
もちろん厄介なのはセミリタイア派です。
バブル世代で最も厄介な「プライドの高い人」
その中でも一番の厄介者は「プライドの高い人」で、おおよそ3タイプが存在します。1つ目は「プライド高い歴の長い人」です。
親や学校の先生、上司から甘やかされて育ってしまい、自分本位で、大物を気取ったり(大物とは思えないけど)、それが一つの人格となってしまっている人。「オレ様系」の中高年バージョンと言えるでしょうか。
2つ目のタイプは、松本さんのように「降職した元管理職」です。会社に入って順調に実績を重ね、主任、課長、部長と出世を重ねてきたが、55歳あたりで会社のルール(55歳あたりで管理職位を後進に譲る役職定年制)で一般社員に降職するパターンの人。
前者は、もはや性格といえるものなので仕方ないところがありますが、このタイプが厄介なのは、管理職時代はとても精力的に頑張っていたのに、降職後はまるで別人のようにローパフォーマーになってしまう人が多いこと。「給与20%下がったんだから働き方も20%落としていいよね」などと捉えているようですが、周囲のメンバーからすると「実際の仕事ぶりは70%以上、下がっているよね」ということを聞きます。
3つ目のタイプは「評価されていないと思っている人」です。こちらは前の2タイプにも当てはまりますが、周囲から「あの人プライド高いよね」と陰口を叩かれる人は、「自分の実力が正当に評価されていない」という思いが普段の言動に現れ、周囲にそう思わせるのです。
こういう人は独善的であったり、協調性がなかったりしますが、自分のことは棚に上げて、陰で他者の批判をする傾向があります。
バブル世代とどう付き合えばいいのか?
「山本君、課長から言われた仕事を断ったんだって? なぜ、『やります』『任せてください』と言わなかったの?」
「松本さん、そんなこと言いますけど、やり切れる自信がないので、受けられませんよ」
「大丈夫だよ。上司というものは部下の能力を見極めて、ちょっとだけ高い課題を出すものなんだ。自分も多くの部下にそうしてきたよ」
「(山本君の心の声)そうかなあ、部長から降ってきた面倒な仕事を僕に丸投げしてるだけだと思うんだけど…」
困ったバブル世代との付き合い方として、次の3つの原則を意識しておきたいところです。まず第1に「人生の先輩に教わる」という姿勢で接することです。
彼らは過去に輝かしい実績を出していたり、いまも使える(はず)の優れた部分があったりするので、そういう実績や能力をリスペクトする姿勢を維持します。
「それってバブル時代の話だよね」という思いは顔に出てしまいますので、「へえ、そんな時代もあったんですね。レジェンド!」でいいのです。自分より何十年か先を生きてきた人ですから、反面教師的なところも含めて素直に耳を傾ける(同意できなくても、聴くだけ、相槌を打つだけでいい)ことで、少なくともあなたへの対応は変わるでしょう。