“神泡”を名乗るのは不遜?サントリー「プレモル」に込めた覚悟
意識しているのは“きめ細かさ”と“泡もち”
――その“神泡”の特徴はどこにあるのでしょうか?
中野:意識をしているのは、泡の“きめ細かさ”と“泡もち”です。具体的には、泡の粒がきめ細かければきめ細かいほど、泡持ちがよくてあまり崩れないのです。その時間の長さなどを重視しています。
泡にはいろいろな役割がありますが、一番の役割はフタです。いつまでも炭酸ガスやコク、香りを逃がさないのです。その泡と一緒に飲むことによって、よりコクや香りが引き立ち、炭酸ガスも抜けませんので、おいしさがいつまでもが続きます。
「プレモル」のマーケティングに衝撃
――サントリーは、マーケティングに特徴があるように感じます。入社されてマーケティングなどの仕事をしてきた中で、驚いたことなどを教えてください。
中野:私は2003年入社で、そしてプレモルが発売されたのも同年。実はプレモルと同期で、その時のマーケティングが衝撃的だったんです、「ちょっと豊さを感じる」というところが、今までのビールの考え方と違ったんですね。
そしてその後に発売された金麦では、今までのビールがストレス発散だったのに対して、“癒し”という新しい価値観を持ち込んできました。サントリーの中で今までのカテゴリから価値をシフトする。
プレモルは豊かさ、金麦は癒し。そしてハイボールですよね。飲み方ひとつであんなにブームが変わるのは、カテゴリを変えたことで、消費者の潜在的な関心をうまく引き出せたいい一例だと思っています。
一番大事にしているのは意外にも…
――そのように自信を持っている「ザ・プレミアム・モルツ」。具体的にどのような形でマーケティングを展開しているのでしょうか?
中野:デジタルとアナログを並行して進めています。しかし、一番大事にしているところは、意外とアナログ的で、最終的にはお客様の表情を見ています。
プレミアムビールたるもの、体感として「他のビールよりもおいしい」というところがないと、お客様には納得いただけません。コミュニケーションも大事ですが、最終的にはやはり飲んだ時に「プレモルってやっぱり美味しい」というところを大事にしています。そのために、飲用時品質というところにこだわっています。
SNSなど様々なツールも駆使していますが、これから展開していこうとしていることは「注ぐ楽しさ」の体感です。「ただ飲んで美味しい」だけではなく、缶を開け、グラスに注ぎ、そして飲む、と一連のビール時間の楽しさを伝えたい。「豊かなビール時間」をテーマに、お客様の楽しい表情とともに動画などで伝えていきたいと考えています。