新型コロナで「評判を上げた・下げた企業」5選。ワタミ、ローソン…
5:ソフトバンク)PCR検査を巡って孫会長の発言が物議
また、新型コロナウイルスへの発言で国民の評価が分かれるパターンもある。3月11日にソフトバンクグループ代表取締役社長兼会長の孫正義氏は、100万人を対象にしたPCR検査の無償提供をするとツイッターにて表明した。
前日10日に「行動を開始します」とツイートしていた孫氏、その後、「新型コロナウイルスに不安のある方々に、簡易PCR検査の機会を無償で提供したい」とツイート。
しかし、簡易PCR検査を巡っては、新型コロナウイルスに感染していないのに陽性と診断されてしまう「偽陽性」の可能性があり、誤った結果を信じた国民が病院に殺到し、医療崩壊に繋がる恐れなどが指摘されている。
ネット上でも同様の批判の声が相次いだ結果、孫氏は2時間後に「評判悪いから、やめようかなあ」と撤回を表明している。この経緯を巡ってネットでは「大量配布したら医療崩壊の危機に陥る」「孫さんでもこんな間違った判断するのか」といった声が出た。
一方で、「逆に検査数を増やせと合唱していたメディアや政治家に啓蒙できた」「あれだけの成功者でお金持ちなのに、自分の間違いを素直に撤回できるのはすごい」といった声も出るなど賛否両論だった。
危機的状況における企業のリスク
新型コロナウイルスによる緊急事態での企業の対応について、危機管理コンサルタントの石川慶子氏に話を聞いた。
「社会に不安が蔓延しているなか、企業としては『社会全体でそれを乗り越えていこう』というメッセージを打ち出せるかが大事。それは社員一人ひとりの意識の問題や、企業としてのCSR(企業の社会的責任)をどれだけ重視しているかが大きいです」
場当たり的な対応を取ってしまったり、状況認識を誤ると、かえってマイナスの意味にとられてしまうのだ。石川さんは「重要なのは誰が被害者かを意識する」ことだという。
「今回の最大の被害者は感染者です。その意味では、11日に開かれたセンバツ高校野球を中止にするという高野連の会見が開口一番、被害者に対するお見舞いの言葉からはじまったのは評価できると思います」
実際、高野連の丸山昌宏大会会長は「新型コロナウイルスによってお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、罹患された方々に回復をお祈りいたします。東日本大震災の被災者にお見舞い申し上げる」と述べてから会見をスタートしている
「私のクライアント企業にも、自社サイトにお見舞いの言葉を掲載するように伝えています。日本の大手企業でそこまでしているところは少ないですが、災害やパンデミックなど人間の力が及ばないリスクを受けた場合、企業の広報としてお見舞いの言葉、いたわりの気持ちを表明することが大事です」
<取材・文/詠シルバー祐真>