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新型コロナ対応、プロ野球とJリーグで違いが…。試合は延期すべきか?

暮らし

思い出す「3.11」への対応

 東日本大震災が起こった2011年には、すったもんだの末に、プロ野球ペナントレースの開幕が延期となった。

 当初の予定では3月25日にスタートする予定だった同年のペナントレース。読売ジャイアンツの渡辺恒雄会長(当時)の意向もあり、セ・リーグは「3.25開幕」に固執していたものの、選手会が「ストライキも辞さない」という強硬な構えで抵抗し、結局4月12日まで延期されることとなった。

 Jリーグは3月11日の時点ですでにリーグ戦がすでに始まっていたが、4月23日まで試合を行わない措置を取った。J1ベガルタ仙台の被災状況が大きかったという事情もあるが、原発事故の影響が未知数な状況としては、賢明な危機対応だったと言えるだろう。

 このように、開幕戦の延期や1か月の試合中止というのは、プロ野球・サッカーともに「未経験の事態」ではない。

 今般の新型ウイルスの流行も、在来のインフルエンザ同様に、季節が変わることで収束する可能性がある。「飲み会を取りやめて」などという注意喚起が国家規模でなされている現状を鑑みれば、プロ野球ペナントレースも「当面の開幕延期」を検討するのが妥当ではないだろうか。

五輪を控える中、「無観客試合」も視野に

無観客

 観客間での感染拡大を防ぐうえでは、客席に観客を入れない「無観客試合」も有効な措置である。

 Jリーグの場合には無観客試合が制度化されており、サポーターが掲げた差別横断幕への制裁として、浦和レッズに無観客試合が命じられた前例がある。Jリーグではないが、2010年のサッカーJFLでは宮崎県での口蹄疫の流行を受け、いくつかの試合を無観客・非公開とした。

 一方プロ野球では、リーグ戦が無観客試合として催された前例はない。試合を中止し、振替試合を開催したほうが経営的に有利だからだ。

 しかし今夏には東京五輪が控えており、試合日程にも余裕がない。3月中旬までに感染者数が減少に転じず、なおかつ「3.20開幕」にこだわる場合には、無観客試合が選択肢に入ってくるかもしれない。

各地で中止になるイベント。経済への影響は?

 2月21日に発表された第一生命経済研究所のレポートによると、新型コロナの影響によって、日本の名目GDPには「マイナス2.9兆円程度の下押し」が予想されている。これは「東日本大震災級」になると見込まれ、昨秋の消費増税とのダブルパンチで日本経済に暗い影を落としそうだ。

 各地でさまざまな催しがすでに中止になっているが、これに加えてプロ野球やサッカーが興行中止となると、経済損失は甚大な額になる。数字には表出しないが、スポーツ観戦を楽しみに暮らすファンとしては、うるおいのない日々を送るのはたいへんつらい。

 しかしそれでも、東日本大震災という前例があるぶん、リスクの見立てはしやすいはずだ。新型コロナの蔓延による「医療崩壊」という未曾有の事態も懸念されているいま、どういった決定が一番安全なのかを見定める必要があるだろう。

<TEXT/ジャンヤー宇都>

「平成時代の子ども文化」全般を愛するフリーライター。単著に『多摩あるある』と『オタサーの姫 〜オタク過密時代の植生学〜』(ともにTOブックス)ほか雑誌・MOOKなどに執筆

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