新型コロナ対応、プロ野球とJリーグで違いが…。試合は延期すべきか?
球春到来を喜びたい季節だが、今年ばかりはそうもいかなそうだ。
日本の厚生労働省は、中国武漢で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)の封じ込めと水際対策に事実上失敗。政府に招集された専門家会議は2月24日に緊急記者会見を開き、流行のピークを先送りし感染を拡げないために、「これから1~2週間が瀬戸際」という見解を示している。
無策のままでいると、患者数の爆発的な増加が起こり「医療提供体制の破綻」を招くというのだから、まさしく瀬戸際である。この状況でスポーツ興行を行うことが、果たして最善なのだろうか。予測を交えながら考えてみたい。
オープン戦は無事進んでいるが……
気がつけばニュースもワイドショーも、テレビは「新型コロナ」の話題でもちきりとなっている。画面がスポーツニュースに切り替わると、ちょっとした安堵を覚えてしまうほどだ。
現在(2月25日時点)のところ、沖縄県でのプロ野球オープン戦は滞りなく行われている(1試合のみ宮崎市)。しかし「人が集まる」ことの危険性が増大しているいま、満員の球場でプロ野球の試合を催すとなると、そこには新型コロナ感染拡大の懸念がある。
今日までに行われた試合は、どれも1万人未満の観客動員で、客席には空席もちらほらあった。ところがこれが各チームの本拠地球場となると、収容人数は3万~4.5万人となる。特に開幕戦のチケットは大人気で、満員御礼大入り袋となるのが常だ。
プロ野球開幕戦の予定日は3月20日。これからの3週間で流行が沈静化を見なければ、開幕延期というのも検討すべき段階にある。実際にセ・パ両リーグでは、26日の会議で興行の可否について検討を行うと報じられている。
また2月25日には、2月29日と3月1日に東京ドームで開催される予定だった巨人-ヤクルトのオープン戦2試合は、無観客試合になることが宣言された。
感染拡大を招くファンの習慣
ところで2月24日夜の『NHKニュース』では、「感染拡大リスクが高い場所」の要件として、専門家から以下の3つが挙げられた。
・人同士の距離が近いこと
・一定時間同じ場所にいること
・混雑していること
残念ながら、野球・サッカーの観戦はすべての要件を満たしている。
客席は狭く、他の観客との接触を避けるのは難しい。選手の名前を叫んだり、見知らぬ同志とハイタッチしたりするのは応援の醍醐味だが、どちらも感染拡大に加担しかねない習慣である。
また、近年のスポーツ施設のトイレは以前と比べて清潔だが、手洗い場を含めて混雑しているため、昨今啓発されているような「正しい手洗い」を全員が実践することは難しい。
加えていえば我々は、混雑した客席でハンバーガーを食べたり、ビールを飲んだりするわけである。平時には問題にならないこれらの習慣も、感染拡大を防ぐべき局面においては大きなリスクとなる。