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“嫌な仕事をやめた男”の天国と地獄。「やめてぇ」の一言で怪文書が…

暮らし

「苦難の先に栄光が待つ」といった考え方が長く浸透してきた。だが実際に残業・出世争いなど労苦の果てに得るものは大したことがない。ならば、嫌なことをやめて生きたほうが楽なのでは?

嫌なことをやめて生きる

イラスト/にしやま

 そんな考えが生まれつつあるなか、「嫌なことのやめ方」を考案してみよう。

エネルギーを得意分野に注いだら評価が急上昇

会話するビジネスマン

※画像はイメージです(以下、同じ)

 仕事の上で、嫌なことを避けて通るのは難しい。会社員であればなおさらだ。だが、地方国立大を卒業後、大手の重工メーカーに就職した佐藤孝明さん(仮名・46歳)は逆転の発想でそれを実現した。

「入社当初は営業だったんですが、コミュニケーションが苦手だし、周囲は東大・京大出身ばかりで営業業務が嫌で嫌で仕方なかった。この苦難を乗り越えれば出世できると耐えていたんですが、もう限界。このままではうつになると思い、経理部門に異動。すると、すごく性に合っていた。数字も得意だし、独りで黙々と作業することが好きだったので、人一倍のめり込んでいったんです。

 もうその仕事だけをしに行くつもりで、無駄な残業も会社の飲み会参加もやめました。それが『経理に仕事のできるヤツがいる』と評価され、社運をかけたプロジェクトにも財務担当として任命されたんです。嫌なことに使っていたエネルギーを得意な分野に使えば、会社員として成功できるんですよ」

 嫌なことから逃げるだけでなく、ほかで結果を出すのが肝要だ。

「やりたくねえ」と宣言し閑職へ。嫌がらせも

悩む

 一方、橋本秀樹さん(仮名・36歳)は念願だった映像制作系大手へ入社したが、仕事は撮影用小道具や器材の手配、出演者へのお茶やお菓子の用意ばかり。

 これも修業とやりたくもない作業に耐えていたが、つい酒の席で「俺は雑用なんかするために上京してきたんじゃねぇ!」とやめたい宣言。見事、クリエイティブな部署への異動が実現し、嫌なことをやめることに成功したが……。

「異動先は完全独立採算制のスタッフも5人しかいない実力主義の部署でした。さらに、前述のやめたい宣言で生意気だと思った人がいたようで、恨みを買っていたんでしょうね。取引先などに自分の過去の素行をあしざまに綴った怪文書が出回ってしまった。もっと嫌なことばかりですよ」

 嫌なことのやめ方を間違えると、さらなる苦境に追い込まれるのだろうか。
 もっとも、彼らの「やめたい宣言」が長い人生の中で吉と出たか凶と出たかは、10年20年たってみないとわからない。

<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/にしやま>

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