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青春18きっぷでも行ける「JRグループの航路」ルポ。国鉄時代から続く

暮らし

船は右側通行で、大鳥居付近へ

 宮島連絡船の宮島口に改札口がなく、往路、復路とも宮島で乗船券などの確認を行なう。宮島口と宮島はわずか1キロなので、“目と鼻の先”という感覚だ。

みやじま丸

5年目を迎えた3代目『ななうら丸』

 10時05分、3代目『ななうら丸』宮島行きが入港。クルマ1台、歩行者17人が下船したあと、乗船する。

 3代目『ななうら丸』は2016年に2代目『ななうら丸』の置き換え用として就航。このほか4代目『みやじま丸』(2006年就航)、4代目『みせん丸』(1996年就航)があり、いずれも船名を“継承”している。

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多目的客室の船内

 船内の1階は多目的客室で、車椅子スペース8台分を備えているほか、ロングシートは大鳥居が見やすいように配置されている。また、車いす対応のトイレも備えている。

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座席は227系Red Wingと同じ転換クロスシートで、快適性を持続

 2階は客室で転換クロスシートを採用。向きは宮島側と宮島口側で異なる。向かい合わせ利用や逆向きを嫌う人にとっては、朗報といえよう。

 3階は展望デッキで、潮風を浴びることができるほか、思う存分景色を堪能できる。また、自販機やベンチも設置されている。

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広島湾上に浮かぶカキの養殖場

 定刻通り10時10分に出航し、針路を右にとる。宮島連絡船は右側通行で、大鳥居付近へ向かう。進行方向左側はすれ違う船や広島の街を一望できる。左右両側にはカキの養殖場も。穏やかな広島湾を順調に進む。

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大鳥居は改修工事中

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厳島神社の大鳥居(前回来訪した2008年撮影)

 いよいよ大鳥居へ近づくも、残念ながら改修工事のため、足場などに覆われていた。とはいえ、こういう姿を撮る機会はなかなかない。

宮島ミニトリップ:平清盛像と野生のシカ

みやじま丸

日本三景のひとつ、宮島に接岸した3代目『ななうら丸』

 針路を左へとり、10時20分、宮島に接岸。ほどなく宮島口行きとして折り返す。出航の合図は、なぜか東武鉄道野田線の一部駅で使われている発車ベルだった。

 下船すると、平清盛像と野生のシカが穏やかな表情で来訪者を歓迎する。ちなみにシカは紙や布が食べること、エサを与えないよう注意を促していた。

 桟橋付近からサーフボードを使い、オールでこぐ男性の姿を発見。大鳥居に向かっている。海に転落しない自信があるのかウェットスーツも着用していない。“間近で大鳥居を見たい”という執念なのだろうが、度が過ぎている。

みやじま丸

そこまでしてでも大鳥居を間近で眺めたいのだろうか

宮島のおすすめ食べ物とスポット

 さて、ここでオススメスポット的なものを御紹介しよう。なお、厳島神社は誰もが知る定番スポットなので外させていただく。

① 揚げもみじ

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摩訶不思議な味の揚げもみじ

 もみじまんじゅうを竹串で刺したあと、揚げたもの。1本190円で販売。こしあん、クリーム、チーズ、瀬戸内レモンの4種類がある。

 試しに瀬戸内レモンを食してみると、脂っこい感じはせず、甘みが増したように思う。今までにない食感だ。

② TOTO宮島おもてなしトイレ

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1階男性用トイレの玄関付近と室内

 廿日市市(はつかいちし)と、TOTOが官民協働で整備した2階建てのトイレ。男性用、女性用、身障者用、子供用を備えている。1階の男性用と女性用は入口に紅葉の光アートが照らされ、前者は緑、後者は赤にしてわかりやすく案内している。

③ 宮島郵便局

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TOTO宮島おもてなしトイレの向かい側に建つ宮島郵便局

 宮島唯一の郵便局。玄関前に「書状集箱」という黒いポストがあり、来客を迎える。また、平日は旅行貯金や風景印収集(窓口に頼めば風景印を消印として手紙も送れる)もできる。

 宮島郵便局がオススメしているのは、しゃもメール。みやげ物店などでしゃもじを購入後、送り先を記入すると葉書の扱いとなり、120円切手(全国共通)を貼れば送れる。いわば“絵葉書の応用版”といったところ。窓口に申し付ければ、風景印も押してもらえるそうだ。詳細は窓口にきけばいいだろう。

<取材・文・撮影/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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