青春18きっぷでも行ける「JRグループの航路」ルポ。国鉄時代から続く
国鉄分割民営化時、JRグループの航路は青函連絡船、宇高連絡船、宮島連絡船の3つが存在していたが、前2者は鉄道の開業により相次いで廃止。
後者はJR西日本の直営から子会社のJR西日本宮島フェリーに引き継がれた。観光客や生活の“架け橋”という役割は変わらない。青春18きっぷでも乗船できる宮島連絡船に御案内しよう。
2つの宮島口駅
JR西日本山陽本線の広島から約30分、岩国から約25分で宮島口に到着する。かつては一部の在来線特急が停車していたこともあり、構内は国鉄の名残が見られる。
ここから宮島連絡船の宮島口桟橋へは改札を出たあと、一旦地下道を通ってゆく。付近に宮島口郵便局があり、平日なら旅行貯金や風景印収集ができるほか、広島電鉄(以下、広電)宮島線の広電宮島口駅も構える。広島駅電停から乗ると、約70分もかかるが大人運賃270円という安さが魅力だ。
一方、JR西日本の広島―宮島口間は420円。広電に比べ150円高いが、地元の方でも気にならないようだ。このエリアの電車は227系Red Wingに統一され、快適でスピーディーな移動ができる。
「大鳥居最接近 VS 最速」どっちを選ぶ?
2つの鉄道事業者が駅を構えているため、宮島口桟橋は宮島連絡船と広電グループの宮島松大汽船が発着する。大人運賃はどちらも180円、交通系ICカードも使えるほか、運賃プラスαながら自動車やバイクなどの乗船も可能である。
前者は9時10分発から16時10分発まで厳島神社の大鳥居に最接近するパノラマビュー(宮島行きのみ)や青春18きっぷでも乗船できるのがウリ。
一方、後者は「最短ルート約10分」「宮島ゆき直行便」というスピーディーさ、広電の「一日乗車乗船券」も利用できることをアピールするが、所要時間はどちらも同じ。どちらも船内から大鳥居を眺められることに変わりない。カメラのズームや双眼鏡などでも“最接近”できるのだから。
1日の定期運航本数は前者53往復(旅客、自動車航送兼用)に対し、後者は旅客便50往復、自動車航送便21往復。運航時間帯は前者が長い。利便性の良さは前者が上だが、日中に関してはどちらも良い。