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25歳男子、憧れていた「神主のお仕事」は超激務。最もツラかったのは…

学び

超ブラック労働を経て得たものとは

落ち込む

「その1件で精神的なダメージを受けたので実家に出戻り、心療内科にも通いましたが、結局は時間で解決するしかありませんでした。退職してから半年後にまったく別の職種に就職したもののうまくいかず、1年半ほどはフリーターをしていました」

 そんな康介さんにも、ついに進展があったのだそう。

「最近、IT系企業に契約社員として就職できました。職場環境は、すこぶる良いです。文化みたいなものが、全然違いますね。チーム体制で動きますが、加干渉されたり、束縛されたりすることがないので。給料は月に27万円で、繁忙期には残業もあるようですが、もちろん残業代も支払われます」

 最後に、神職からIT系という全く違う業界に飛び込んだワケを、教えてもらいみあした。

「ぶっちゃけ、職種はなんでも良かったんです。というのも、夢だった神職に就けたのは幸せでしたが、それでも過酷な労働環境にさらされ続けると、人間らしい生活ができなくなってしまうことを実感したので。

 今回の仕事探しの条件は、土・日・祝日休み。お金も大事だけど、自分の時間を確保できることを重視しました。最近は休日に銭湯巡りや星空の撮影をすることにハマっていますね」

 普通に働き、人間的・文化的な生活が送れることの安心感を改めて実感しているという康介さん。憧れていた職業で“やりがい搾取”されるよりは今の方がよっぽど健全なのかもしれません。

特集・令和の「ブラック企業」事件簿

<TEXT/阿形美子 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>

1994年生。大学卒業後、フリーの編集・ライターとして活動中。底抜けの飲んべえゆえ酒ネタが多いが、インタビューやモノ記事、カルチャーネタなどもカバーする。Twitter:@agata_yoshiko

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