近鉄の新型特急『ひのとり』、高級感あるプレミアム車両が目玉
近畿日本鉄道(以下、近鉄)は、23路線、501.1キロ(営業キロ)を擁する日本最大規模の大手私鉄である。
数ある“看板”のひとつ、名阪特急(近鉄名古屋―大阪難波間)のニューフェイスとして、「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとした80000系『ひのとり』が、2020年3月14日(土)のダイヤ改正で開幕を迎える。それに先立ち、2月5日(水)に“「報道関係者向け試乗会」という名のオープン戦”が開催された。
同日に2路線でオープン戦を開催
オープン戦は大阪線大阪上本町―榛原間(片道50.1キロ)、名古屋線近鉄名古屋―伊勢若松間(片道48.3キロ)の往復で行なわれる。私は近鉄広報より前者を案内され、後者は夕方のWebニュースで初めて知った。『ひのとり』に関心を持つメディアが多く、近鉄がフレキシブルに対応したのだろう。
大阪上本町7番のりばに午前の部を終えた『ひのとり』が停車し、車内は午後の部に向けて折り返し作業中。偶然通りがかった乗客らはスマホでシャッターを切る。
80000系と『ひのとり』の由来
近鉄特急は有料列車ながら、列車愛称を設定しないのが特徴で車両愛称が充てられている。今回の80000系も『ひのとり』という車両愛称が付与された。
先進的でスピード感がある車体フォルム、深い艶感の赤いボディー、ゆったりした空間、上質なサービスを提供する気品ある車両のイメージを、翼を大きく広げて飛翔する「ひのとり」に重ね合わせて命名したという。
この名を聞くと、手塚治虫氏の名作『火の鳥』が頭に浮かぶ人もいるだろう。念のため近鉄に確認したところ、特に意識していないそうだ。
また、近鉄の車両に60000系、70000系が存在せず、一気に80000系に飛んだ。これについては「新しい世代の特急形電車」という意味を込めたという。ちなみに5ケタ車両は特急形電車に充てている。
6両車と8両車(2020年度導入予定)の2種類になるのは、多客が見込まれる列車は後者、それ以外は前者を充てるため。現在、1988年から32年にわたり“名阪特急の顔”として親しまれている『アーバンライナー』も、6両もしくは8両で運転されている。