人工知能の暴走を描く、入江悠監督「研究者は優しい人が多かった」
AIは、人に興味がないと作れない
――実際にお会いしてみて、どんな方が多いと感じましたか?
入江:もともとゲームが好きだったり、SF映画が好きだったりする方が多かったですが、印象的だったのは、優しい人が多いことでした。
AIって、どうしても冷たいイメージがありますけど、研究者の方々はとても物腰が柔らかくて優しいんです。「なんでだろう」と考えましたが、AI研究者というのは、人に興味があって研究している方が多いんです。
このとき人はこう考えるから、コンピューターにもこう考えさせたらどうかとか、「対人(ひと)」なんですよね。「人間って何を考えてるんだろう」「好きになる感情って何なんだろう」と。
人の知性とAIの知性というのは、ある種の相関関係にあるんですね。岩田さん(岩田剛典)が演じたエリート警察官もAIの開発者ですが、彼もコミュニケーション能力が高い。研究室の先生方というのは、人に興味があるから優しいんです。
「あとはインフラが整うかどうかの問題」
――いわゆる偏屈な研究者ではないんですね。
入江:百聞は一見にしかかずと言いますけど、お会いして学ぶことが多かったです。
――AIの技術について、こんなに進んでいるんだと驚いたことは?
入江:こうなったら便利だろうと思うことは、もうほとんど実現できるはずです。「歩きスマホ問題」とかありますけど、これからは地図をメガネやコンタクトに投影して見られると思いますし、研究者の先生方は「あとはインフラが整うかどうかの問題」と言っています。