大阪発祥「スパイスカレー」の次に流行るカレーとは?
いまや日本の国民食と言えるカレー。ビーフカレーやシーフードカレーといったものからキーマカレーやインドカレー、マッサマンカレーなどエスニック系のものまで実に多くの種類がある。
カレーは明治維新で外国から伝来したものであるが、日本独自の発展をしてきた食べ物だ。戦後の学校給食が、カレーを普及させる大きな要因となっており、1950年代以降に食品会社が固形ルウやレトルトカレーを発売したことも後押しし、一般家庭に広く浸透していった。
毎年1月22日は「カレーの日」に制定されており、各地でカレーにちなんだ催しものが行われる中、同日には「カレー・オブ・ザ・イヤー2020」が都内で開催。カレー業界の発展に貢献した商品やカレー専門店などが表彰された。
主催を務めるのは、「横濱カレーミュージアム」のプロデューサーを経て、現在はカレー総合研究所所長を務める井上岳久氏。カレー業界の第一人者と知られる同氏が考えるカレートレンドの変遷や、カレーに対する想いについて話を伺った。
カレートレンドの変遷について
井上氏は2002年11月に横濱カレーミュージアムのプロデューサーに就任し、入館者数減少に悩む同館を復活に導いた。
「2001年に横濱カレーミュージアムがオープンしたことで、『カレー専門店』に注目が集まりました。当時はあまり一般的ではなかったカレー専門店を出店させたことで、結果として多くのメディアに取り上げていただき、一躍脚光を浴びるようになったのです。
全国にはレストランで出すようなものとは違うカレーを出す個性的なお店が多くあることを知っていたため、これをミュージアムに集結させれば、流行るのでは……。そう思っていましたね」(井上氏、以下同)
また、現在では一般的になっているスープカレーもまた、同ミュージアムがきっかけでブームを呼ぶきっかけになったという。
「スープカレーはもともと札幌のご当地グルメとして知られていましたが、あくまで地域色が強く、全国に広がるものではありませんでした。そこで、札幌で人気No.1の呼び声が高いスープカレー専門店『マジックスパイス』の出店を誘致することで、スープカレーの美味しさを知ってもらうよう考えたのです。こちらもメディアの目に留まったことで、多くのお客様が足を運ぶようになり、スープカレー熱が高まっていきました」