冬ボーナス、都内企業は平均77万円。業界別ランキングと差がつく理由
年末が近づくにつれ、各所から発表された冬のボーナス事情に関する記事を目にすることが多くなる。経団連の集計によれば、大手企業の今年の冬ボーナスは平均約96万円、業界別トップは建設業(なんと約172万円)だった。
経団連調査より業種分けが細かい、東京都民間労組の調査を見てみよう(中小企業を含む507件が回答)。2019年冬のボーナスは平均76万9903円。便宜的に、10件以上が回答した業種をピックアップし、多い順に並べたのが以下の表だ(全業種は記事の後半に掲載)。
一番高いのは「教育・学習支援」約136万円、次が「建設業」約117万円。少ないのは「宿泊業、飲食サービス業」約58万円、「医療、福祉」約57万円などで、倍以上の差がついている。
自分は他業界に比べてどれくらいもらっているのか、業界ごとのボーナス額はどれくらいなのか、気になるところだ。また、そもそものボーナスの仕組みや、業界によってボーナス額の格差が生まれてしまう要因を知っている人はどれほどいるのだろうか。
今回、コンサルティングファーム「KT Total A&C」の鳥山慶氏を取材。前半はボーナスの仕組みや特徴を、後半は2つのデータを基に今年の各業界のボーナス事情を解説してもらった。
ボーナスの根本的な「仕組み」
――全体的に今年のボーナスの傾向はどうでしょうか。
鳥山慶(以下、鳥山):若干ですが全般的にはボーナスが良かった企業が多いのではないでしょうか。2018年度の名目GDP成長率は0.1%でしたが、2019年9月までは0.6%となっています。全体的に、日本の経済は若干程度良くなっていると言えます。ただし、増税による物価上昇もあるので、額面の増加に対して、実際に使えるお金が増えている実感があるのかは疑問ではあります。
――そもそもなぜ、ボーナス額が業界によって変動するのでしょうか。
鳥山:ボーナス額が業界ごとに異なる理由を理解するためには、ボーナスの一般的な計算方式を知る必要があります。ボーナスは、「基本給×Xか月」というように、基本給の何倍を支給するかという考え方で設計されていることが多いです。
このXか月は、会社業績、部門業績、個人の評価と複数の指標を組み合わせて決定されます。ここでのXか月が何であれ、発射台となる金額は基本給となります。必然的に、基本給が高い業界ほどボーナスも高額になる傾向があります。