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「ユニクロ」のファーストリテイリングは、やっぱりブラック企業なのか?

ビジネス

ファストリの決算資料を見てみる

 これを踏まえて、ファーストリテイリング社の直近の決算を確認します。

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図:2019年8月期決算より引用

 2019年8月期の売上収益は2兆2905億円となり、前期比7.5%と順調に伸ばしています。国内市場ではトップを独走しており、グループ企業のみで国内市場の約2割の売上シェアを誇ります。

 売上総利益も1兆1195億円であり、前期比6.6%の増加(売上比では前期比0.4ポイント減)と申し分ない業績です。

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図:2019年8月期事業別動向(同上)

 事業ごとの動向も確認していきます。2019年8月期の各事業の通期売上は下記のとおりです。

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<2019年8月期 各事業の通期売上>

国内ユニクロ事業…8729億円
海外ユニクロ事業…1兆260億円
ジーユー事業…2387億円
グローバルブランド事業…1499億円
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 ここで注目すべきは、ユニクロ事業において完全に「国内<海外」の図式が成立していることです。

 事実、ファーストリテイリング社は海外進出に積極的です。ユニクロ事業は2001年にイギリス・ロンドンを皮切りに、欧米・アジアを中心に出店数・進出国数を拡大しています。

 2019年10月にはインド・ニューデリーにインド第1号店を出店したことでも話題になりました。インドは世界第2位の人口を誇り(13.3億人)、今後の経済発展が期待される国でもあります。

2)社長のキャラ:柳井正氏の「働き方観」は?

 ファーストリテイリング社の社長は柳井正氏です。もはや「知らない人はいない」と言ってもよいほどの知名度です。フォーブス誌の2019年長者番付で日本人のトップでもあります。

 著書も多くあり、各種インタビューでの発言も注目されています。ただし、関連インタビューの量があまりにも膨大であり、全てを紹介しきれません。今回は柳井氏の「働き方改革」への考え方と、直近で進行中の「有明プロジェクト」の概要の説明に絞ります。

 少し古い記事(2016年5月29日)ですが、働き方改革にご本人が言及している「日経新聞」の記事があるため、こちらを概観していきます。

 上記の記事のポイントをまとめると下記の通りになります。

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・働き方改革については日本に議論を限定せず、世界での位置付けを考えて行動するべき
・2012年から大学1年生にも内定を出している
・(ファーストリテイリング社を)最低賃金1500円を出せる利益体質の企業にしていきたい
・人海戦術は良しとしない。もっと少ない人数と短い時間で効率を上げるべき
・サービス残業を自発的に行っていた店舗があったが、サービス残業=悪という意識をもたせて改善した
・知的能力が高くても(例:MBAホルダー・コンサルタント会社出身)、実行力がない人間は評価しない
・販売の現場で頑張っていた人材が経営層に入り、本社や海外で活躍している現状を歓迎している
・「明日の仕事を今日やれ」と社員に伝えている

(以上、筆者による要約)
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 ここから伺えるのは、柳井氏は「人材を薄給で長時間働かせることを否定している」一方で、自社の人材については日本人であることや、新卒一括採用・雇用形態にこだわらずに非常に広く求めており、「少ない人数で、短い時間で効率よく動く方法」を「自ら手を動かして実行する、現場志向の人間」を強く求めている、ということです。

 これはある意味企業としての理想でもあるのですが、自社の人材にとても厳しい、世界レベルの競争と要求を突きつけているということでもあります。

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