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将来不安は消えるか?「積立投資」の賢いやり方をプロに聞く

コラム

預貯金だけだとお金の価値は減っていく

頼藤太希

頼藤太希氏

――では、積立投資はなぜ資産形成の基本なのでしょうか?

頼藤:分散投資が地域や資産の分散なら、積立投資は時間の分散です。投資対象の値段は時期によって上下し、当然安い時に買ったほうが、高い時に買うよりも、大きい利益がでます。

 しかし、積立投資では値段の上下に関わらず、定期的に一定額を金融商品に投資します。「ドル・コスト平均法」と呼ばれるこの購入方法を採用することで、価格の高い時には少なく、安い時には多く買うことができ、高値掴みのリスクを避けながら多くの口数を買うことができます。金融商品は上下に値動きしますから、これによって、平均購入価格が自然と下がっていく効果が働くのです。平均購入価格が下がると、価格が上がらなくても利益が出せる可能性が増していきます。

 ハイリターンを目指す投資では常に「いつ買うか」を悩んで、時には「待てばよかった」「買えばよかった」と一喜一憂することになりますが、積立投資では買うタイミングに迷わず、感情に流されないで投資できるメンタル的なメリットも大きいです。

――「長期」「分散」「積立」なら損をすることはないのでしょうか?

頼藤:金融庁の公開した「資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用実績」のデータで、積立・分散投資を5年間続けた場合では、年利10%もの利益をあげた投資信託があった一方で、元本割れを起こした投資信託もあったことが示されています。

 しかし、積立・分散投資を20年間続けた場合、運用成果は年率2~8%の間に収まっており、元本割れを起こした投資信託はありませんでした。ただし、あくまで過去の運用成績なので、今後も必ずそうだという確証はできませんが、「長期」「分散」「積立」投資を実行すれば、お金を減らさずにコツコツと増やす可能性は高まるでしょう。

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「むしろ、インフレ時代では預貯金だけしていると、お金の価値はどんどん減っていくんです」と頼藤さんは言う。

 2013年から2019年までで、日本の物価は7%近く上昇し、近年は消費税増税など必要なお金はどんどん増えていく。もはや黙っているだけで豊かな生活が手に入る時代ではないのなら、未来の自分のために資産形成を始めてもいいのかもしれない。

【頼藤太希】
マネーコンサルタント。(株)Money&You代表取締役。WEBメディア「FP Cafe」や「Mocha」を運営するほか、マネーコンサルタントとして幅広く活躍中

<取材・文/日下>

bizSPA!新人ライター。大型新人めざして頑張ります

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