インターン学生と接する“社員”、実は代行業者も…。運営会社に聞くジレンマ
インターン現場で学生にリアルを伝える
ときには、インターンの現場で学生に対し、厳しい現実を伝える場合もあるといいますが、その背景としては「企業側の緩衝材になる」という役割もあるという長井氏。その話から見えてきたのは、企業側が抱える学生と向き合う上でのジレンマです。
「企業側からは『よい点だけではなく悪い点も伝えたいが、悪い点を伝えると学生の気持ちが離れてしまう』と不安を抱く声もよく聞きます。そこに第三者として自分たちが入ることで、ある種の“緩衝材”として働くのも我々の役割です。
例えば、営業の疑似体験をインターンシップに組み込んだとき、仕事のリアルを伝えたところ、学生を泣かせてしまったことがあります。仕事は、楽しさと同時に辛さもある。そのリアルを語ると、社会に慣れていない学生は、時に涙してしまうことも。企業に所属する従業員が担ってしまうと学生の警戒心を強めてしまう可能性もあるため、第三者という立場を活用して、仕事における酸いも甘いも学生たちにできる限り伝えられるように取り組んでいます」
代行サービスが“通訳代わり”になる
インターン自体の時間が短くとも「企業側と学生側の双方が満足できるような環境を提供していきたい」と話す長井氏。企業と学生のコミュニケーションにおける問題を解決していきたいと、今後の展望を語ります。
「近年は、学生から“ブラック企業”だと揶揄され、苦しむ企業も目立ちますが、その背景には“内情の伝え方”という問題もあると考えています。例えば、コミュニケーションが困難な理由として『ジェネレーションギャップ』を挙げる人事担当者も少なくないのですが、そうした場合に『自分たちの気持ちが分からない学生はいらない』といった意見を耳にしたときはハッキリと指摘するようにしています。
未来を担うのは学生たちであるため、両者の間に立って各企業ごとの特徴や魅力をどう上手く伝えるべきかは永遠の課題でもあるのですが、代行サービスを通してそれぞれのギャップを埋められればと思います」
企業と学生のそれぞれが“素の姿”をたがいに確認し合うための場所でもあるインターン。実際の現場を味わえるのが理想的な姿ではあるものの、代行会社が“通訳代わり”となり分かりやすく伝えるというのも、意義のある選択肢といえそうです。
<取材・文/金子修平>