インターン学生と接する“社員”、実は代行業者も…。運営会社に聞くジレンマ
ドラマや映画を作るような労力
学生と企業の“橋渡し役”となるインターンの代行サービス会社。とはいえ、各企業の内情に精通していなければ、実際の内容も作り込めないのではないかと疑問も浮かびます。
「企業からの要望を受けてから、初めに行うのは従業員に対するリサーチです。我々の場合は、新入社員からベテラン社員まで様々な年齢層からの話を聞くようにしています。案件にもよりますが、長ければ1か月ほどかけます。例えば、営業職の場合は実際の現場への同行取材で、客先での会話も細かく記録して、ある意味、ドラマや映画を作るような労力をかけています」
そうした作業を重ねることで見えてくるのが企業ごとの特徴だ。
「場合によっては、人事担当者から『そんなところもうちの魅力なんですか?』と聞かれるほど徹底的に掘り下げています。先入観なしに見るからこそ各企業の魅力に気が付けるのも事実で、第三者の目線から業務内容を探り、インターンの企画を作り込めるよう工夫しています」
企業の代弁者としてベストなスタッフが代行に
実際の現場で、インターンの運営を担うのはキャリアスペシャリストなどの資格を持った業務委託スタッフ。当日の雰囲気も加味して「企業の要望や対象となる学生たちの空気に合ったスタッフを選定して対応する」と、長井氏は言います。
「業務委託スタッフの方々は年齢層も様々で、主婦やフリーランス、定年退職者などいろいろな立場の方がいます。現役で会社員として働きながら副業としてやっている方もいて、なかには『人事部から異動してしまったのでスキルが落ちるのを防ぎたい』という理由から、登録されている方もいます。
インターンシップ当日も、親しみやすい雰囲気を作るなら学生たちと年齢が近い若い世代のスタッフ、相談を中心とした場を提供する場合には比較的年齢層の高いスタッフを選定するなど、適材適所を意識しています。また、ディスカッションを行う場合は、学生たちの出番にばらつきがでないよう進行を取りまとめる役割を担うので、場を活性化させることが得意なスタッフが担当します」