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市営バスのニューフェイス。燃料電池を使った「FCバス」の乗り心地は?

ビジネス

インテリア:固定座席は22席と少ない

横浜市交通局

SORAの車内

 車内の前方はノンステップエリア、後方は機器類などを搭載している関係でステップが設けられており、まさにハイデッカー(編集注:客室の床を通常より高い位置に配置したバスや鉄道車両の構造)といえよう。

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簡易座席とフリースペースには、ベビーカー用のひもを備えている

 ノンステップエリアには、フリースペース(車椅子&ベビーカー用)を用意。また、折り畳み式の簡易座席が3人分あり、こちらもフリースペースを兼ねている。このため、客室の固定座席は22席と少ない。ちなみに客室の定員は78人。

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市営バス一般席のシートモケット(優先席は赤)。いいデザインなのだから、市営地下鉄の車両にもぜひ採り入れてほしい

 シートモケットは一般席、優先席ともブルー系で、グラデーションを入れている。リースなので、市営バスの標準タイプでないのが惜しい。数年後、リースから買い取りというカタチに変更されたら、市営バスらしさが加わったFCバスになることを期待したい。

 握り棒や吊り手は黄色で、強烈なインパクトを放つ。

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LCDの案内表示デザインは市営バス仕様で、日本語と英語の2つを同時に表示する模様

 旅客情報案内装置はLCDで、前方と中央の2か所に設置。室内灯はLEDで、薄型を採用することで車内空間を広く見せている。

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SORAの運転席

 乗務員支援として、高精細カメラを車内に3個、車外に5個を配し、運転席のモニターに表示され、安全運転の補助を行なう。滝頭営業所の職員によると、滝頭6301号車は保安基準を満たしていないため、高速道路は運転できず、車検証にも「高速道路には乗らない車両」と登録している」という。

出発式では横浜副市長らが祝辞

横浜市交通局

出発式の様子

 10月2日14時20分、横浜市役所中庭駐車場で出発式が執り行なわれた。ここで使われる大型扇風機や音響設備は、SORAからの電気を活用している。

 出発式では、横浜市の平原敏英副市長、トヨタ自動車国内営業部の成瀬明南関東営業部長、JXTGエネルギーの塩田智夫水素事業推進部長が祝辞を述べた。その一部分を御紹介しよう。

・平原副市長
「御存知の通り、横浜市はSDGs未来都市ということでございまして、次世代交通の取り組みを一生懸命やっていることでございます。この燃料電池バスの試験導入は、横浜市の取り組みをさらに加速させるものというふうに考えております」

・成瀬南関東営業部長
「“水素社会の実現に向けて、微力ながら貢献していきたい”と思っておりますが、そのためには、当然ながら我々が需要を拡大させてゆくことと、安定的な水素の供給などが必要になってきます」

・塩田水素事業推進部長
「今後も様々な燃料電池を介したモビリティーに対する水素等インフラの整備に努めるとともに、もっと大きく言うと、水素の製造、輸送、販売をすることで、“日本の水素社会の扉を開けてゆきたい”と、そのように考える次第でございます」

試乗したらものすごく静か!

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試乗会は2回実施

 出発式終了後、試乗会が開催され、1回目は来賓など満員の状態にて発車。2回目はメディアや横浜市職員などが乗り込む。冷房はヒートポンプ式を採用しており、涼しく快適だ。

 発車すると、ものすごく静か。乗り心地もよい。ウインカーの音がよく響く。

 車内では横浜市交通局職員によるFCバスの説明があり、和やかな雰囲気に。「将来は鉄道でも『FCカー』が開発、実用化されたら、気動車(ディーゼルカー)に代わる車両のひとつになるのでは」と頭に思い浮かべながら、約10分の試乗を終えた。

【取材協力:横浜市交通局】

<取材・文・撮影/岸田法眼>

レイルウェイ・ライター。「Yahoo! セカンドライフ」の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、ムック『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)『鉄道ファン』(交友社)や、ウェブサイト「WEBRONZA」(朝日新聞社)などに執筆。また、好角家の側面を持つ。著書に『波瀾万丈の車両』『東武鉄道大追跡』(アルファベータブックス刊)がある

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