市営バスのニューフェイス。燃料電池を使った「FCバス」の乗り心地は?
横浜市交通局は、次世代低公害バスとして、神奈川県初の燃料電池バス(以下、FCバス。FCは「Fuel Cell」の略)1台を試験的に導入。
市営バス滝頭営業所に配属され、「滝頭6301号車」として2019年10月2日より運行を開始した。みなとみらい地区などの路線バスとして運行するほか、横浜市の環境イベントなどの出展、環境対策を積極的にPRするという。
2020年には東京都などに100台以上導入
FCバスは、水素と酸素を取り込んで化学反応を起こし、発生させた電気でモーターを回して走る。二酸化炭素を含む排気ガスを一切出さないクリーンさがウリだ。
横浜市交通局が試験的に導入したのは、トヨタ自動車のSORAで、Sky(空)、Ocean(大海)、River(川)、Air(空気)の頭文字からとっている。
「空から降った雨が、大海へと川を下り、空気に姿を変えて空に帰る」
パンフレットによると、自然の循環を促す水素社会への想いとメッセージを、シンプルで誰にでもわかりやすい名前に託したという。
2018年に日本初の量販FCバスとしてリースを開始。2020年の東京オリンピックおよび、パラリンピックでは、東京都を中心に100台以上の導入を予定しているという。また、この車両は愛知県でも運行されており、神奈川県で全国3番目の導入となる。横浜市交通局は2019年から6年間のリースを予定し、冒頭の通り「滝頭6301号車」として運行する。
水素の充填(じゅうてん)はENEOS横浜南水素ステーションで行ない、約10~15分で満タン(20~22kg)。車両の上部には、水素タンク10本と電気を作るFCスタックを搭載し、車両後方床下のモーターに送電することで、クリーン&パワフルに走る。また、車両後部に給電口があり、外部給電器(別売)とつなぐことで電源の供給もできる。
エクステリア:フルカラーLEDを採用
デジタル方向幕はフルカラーLEDを採用。市営バスの方向幕は行先の日本語を黒、行先のローマ字や英語を青、“強調経由地”を緑で表示し、わかりやすく、見やすくしていた。
しかし、方向幕に代わる3色LED車両が導入されると、表示色はすべてオレンジになってしまい、いささかわかりにくくなった(3色LEDの表示色はオレンジ、緑、赤なので、“強調経由地”を緑で表示できたように思える)。フルカラーLED化によって、方向幕の表示が極力再現されるだろう。
側面デジタル方向幕はドット数が大幅に増加。3色LED車両は矢印を除き4段分プラスアルファしか表示されないが、滝頭営業所の職員にきいたところ、FCバスは5段分表示できるという。
乗降用ドアの入口部分は折戸、出口部分はプラグドア。車体側面はブラックをメインカラーに用いており、イエローのラインを各2本添えることで、位置を明確にしている。