大型バスの自動運転が実験スタート。乗ってみた感想と将来性
自動運転システムは鉄道車両にも応用できるか?
「自動であらゆるところを動かすには、人間と同じ脳みそ、それよりも高度な頭脳を必要とします。沖縄から北海道まで信号を認識させると、約20万基すべて認識させるのは難しいわけであります。
一方で、路線バスのような“路線が限定された地域”であれば、そこにある信号機は数基から十数基、これを確実に認識させることは技術的にも単純になる。単純になるということは、すなわち信頼性が高いということになる。ということで、無人で動く自動運転というところに近づけるのではないか。こういった自動運転のアプローチをとっていくのが、我々の活動でございます」
出発式で小木津准教授は、路線バスの自動運転実用化に向け、意欲を示した。私は「今回の技術を鉄道車両にも応用できないだろうか」と思い、ぶら下がり取材の場で、小木津准教授に聞いてみた。
「技術的に似てはいると思うんですが、輸送量についてはバスよりも多いので、考え方も違ってきます。ホームドアとかの話もありますが、お客様と列車をうまく離して安全を確保してゆく考え方は、バス以上にもっときちんとやっていく必要があると思います。役には立つかもしれませんが、鉄道には鉄道の課題もあると、勝手ながら思うところではあります」
私が注目したのは、レーザーセンサー。鉄道車両に搭載し、600メートル以上検知できるようにして、自動停止できるようにすれば、踏切など線路上での衝突事故を防げるのではないかと思う。
鉄道の技術を自動車に、自動車の技術を鉄道にそれぞれ採り入れることで、安全性の強化につながる。事故を減らし、最終的には、なくすことができるのではないだろうか。
【取材協力:相鉄バス、群馬大学、相鉄ビジネスサービス】
<取材・文・撮影/岸田法眼>