「メール読んだ?」と電話や訪問してくる“メール老害”クライアントの恐怖
メールは相手の都合を考慮しながら連絡を取り合えるのが、メリットのひとつ。しかし、その距離感は千差万別です。
なかでもたびたび、あつれきが生じる原因となるのが世代間による使い方ギャップ。若手社会人がメールを介して“老害”に振り回されるケースもあるようです。
30代でフリーのデザイナーとして働く前竹さん(仮名・男性)は、実際に被害を受けた一人です。社会人としての経験がまだ浅かった20代後半の頃、自称・業界人の“老害”に心がボロボロになるほど追い詰められた経験を赤裸々に語ってくれました。
メール直後に電話での“追撃”
20代後半は「とにかく仕事を獲得するのに必死でした」と振り返る前竹さん。ちょうどその頃に知人の紹介で出会ったのが、芸能事務所に務めていた経験もあった自称・業界人の清水さん(仮名・男性)でした。
当時は「大きな仕事がもらえるんじゃないか」と淡い期待もあり、清水さんが関わる仕事を細々と手伝っていたという前竹さんでしたが、メールのやり取りをする中で、彼の接し方に少しずつ違和感を抱きはじめたといいます。
「清水さんはメールを送ったあとに、必ずといっていいほど『今、送ったから』とか『確認できた?』と電話で連絡してくる人だったんですよ。当時の自分は駆け出しだったとはいえ、他の仕事もあるにはあって。
電話に出るたびに雑談も交えながら長いときで1時間ほど話し込むのもザラで、出なけりゃ出ないで次会ったときにネチネチといわれるし、本音では『時間泥棒のクソオヤジ!』と思いながらも嫌々対応していました」
追撃はSNSでも。もはやストーカーでは…
メールのあとに電話してくる人もたまにいますが、よほどの急用でない限りは“時間泥棒”になりかねないのも納得。さらに、清水さんによる“追撃”の手段は、SNSのメッセージにも及びました。
「当時はLINEやFacebookが流行り始めた時期で、次第に、電話のみならずメッセンジャーを経由して『メールは確認した?』という連絡も来るようになりました。今ほどスマホを使いこなせていなかったので通知機能をオフにすることもしていなかったし、ロックを解除するたびに清水さんからの連絡が届いていたのが苦痛で……。いったん内容を確認したら“既読”が付いてしまうし、付けたら付けたで気をつかいながら返信の文面を考えなきゃいけないから、正直、だいぶ追い込まれていました」
メールを確認したかどうかをメッセンジャーで改めて追求するのは、された側にとってはプレッシャー以外の何物でもありません。この経験を反面教師として、前竹さんは「メールの返信は相手の都合を考えて待つ」のも大切だと気が付いたそうです。