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辞める上司の「ウチにこないか」は希望か、落とし穴か?

学び

上司が評価されないと道連れになる

 3点目は、その上司や先輩とあなたの上下関係はずっと続きます。運命共同体です。もし、上司や先輩が評価されなかったら、あなたが成果を出していても一緒に島流しに合う可能性も高いのです。

 アウェイの場合、前の会社で成果を出していても、組織文化が合わなく、思うように動きができず、結果が出ないということは実はよく起きます。生え抜き社員のほうが中途採用者より社内政治で有利なのはわかるでしょう。

 どんなに、あなたのほうが優秀でも序列は決まっているので、上司、先輩を追い抜くことは至難の業。上司や先輩の子分という色眼鏡で見られながら、社内人脈をつくり、安全地帯をつくる手間はラクではありません。以上を確認したうえで、どちらの選択肢が楽しいかで決めましょう。

 自分の人生の舵を切るのは自分であることは忘れずに。

辞めた同僚から「ウチにこないか」と誘われた

松本利明

松本利明『「いつでも転職できる」を武器にする』(KADOKAWA)

 同僚は実はリファーラル採用(社員紹介制度)を狙っているのかも知れません。最近はどの会社も人材不足で採用に苦労しているので、リファーラル採用に力をいれる企業が増えてきています。

 あなたを引き抜く意図を嗅ぎきりましょう。知人に声掛けするノルマを課す企業もあるので、そのノルマ達成のために、ただ声をかけてきただけかも知れません。もしくはリファーラル採用で入社が決まると、数万~数十万円の「紹介料」が出るところも多いです。その紹介料をお小遣いとしてほしいのかもしれません。

 でも、この程度ならかわいいもので、注意点が2つあります。1つ目は、あなたを自分の部下扱いで入社させようとしているかです。このケースも結構あります。同僚だと思っていたのに、部下扱いになり、あなたの手柄を横取りするつもりかも知れません。

 2つ目は、その同僚がその組織で活躍し、周りに認められているかです。リファーラル採用の場合、あなたが「誰の紹介か」というのはつきまといます。同僚時代の働きぶりを思い出してください。次の会社でも働きぶりや評価は意外と変わらないものです。その人の紹介となると、あなたも「その人と同じ」という目で見られてしまうと認識しておきましょう。

応募書類を提出しなければ履歴は残らない

 リスクがあるかどうかの確認は簡単です。要はリファーラル採用です。声をかけてきた同僚だけでなく、その会社の他の方々と接することができるカジュアルなランチや飲み会をセットしてもらえばいいでしょう。履歴書などの応募書類を提出しなければ人事に履歴は残りません。

 いずれにしても、同僚でも移籍先ではあなたの先輩になり、多少人間関係が変わることを視野に入れ、魅力がある会社であれば、普通のリファーラル採用と同じように対応すれば何の問題もありません。

 同僚が先輩になる関係でも、あなた個人として何も問題なければ、普通に進めても大丈夫でしょう。

<TEXT/松本利明>

人事・戦略コンサルタント。外資系や日系の大手企業から中堅企業まで24年間、600社以上の人事や働き方改革に従事。『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)はベストセラー

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