自宅で美味しいコーヒーを飲む方法。コーヒーハンターに聞く
コーヒーの淹れ方より大事なものは…
――なるほど。では、コーヒーが美味しくなる淹れ方について、何かコツがあれば。
川島:淹れ方も大事ですが、その前に、注ぐお湯の温度を間違えてはいけません。コーヒーに対して適温は90℃前後なのですが、これが熱すぎると嫌な苦味が出てしまい、逆に低すぎると、今度は嫌な酸味が出てきます。
コーヒーを飲むたびに温度を測るのは面倒という人がいたら、サーバーの容器に熱湯を注いでから、今度はそれをポッドに戻してください。そうすると、おおよそ、90℃くらいのお湯として使うことができます。
――温度によって味が悪いほうに変化してしまうと。
川島:そうなんです。そのうえで、美味しくするための淹れ方ですが、コーヒー全体に適量のお湯を注ぎ、蒸らした状態をキープするよう20~30秒ほど置きます。これは水分を含んだ状態にして蒸らしてあげると、コーヒーの抽出力が高まって、より深い味わいを引き出すことができます。あとは、そのままゆっくりとお湯を注いであげてください。
――Mi Cafetoの人が開発した「トルネード抽出」というオリジナルの注ぎ方もありますね。
川島:あれは技量と下半身の筋力を必要とする淹れ方なので、いきなりは至難の技です(笑)。マスターしていない人がやるとコーヒーがシャバシャバになっちゃいますから、難易度は相当高いです。百聞は一見にしかずなので、まずは私のTwitterにアップしているトルネード抽出の動画を、気になる場合はご覧になってみてください。
コンビニ各社で違うコーヒーマシンの特徴
――ところで、最近は大手のコンビニでも、手軽に淹れたてのカウンターコーヒーがリーズナブルな価格帯で楽しめるようになりました。
川島:そうですね。ローソンさんとファミリーマートさんは、エスプレッソ式のコーヒーマシンを採用しているのに対して、セブン-イレブンさんはドリップ式のマシンを使っています。セブンさんは店内にコーヒーの香りがほのかに漂っているでしょ!? あの演出はドリップ式でないとできない。
逆にエスプレッソ式は高圧に耐えられるよう密閉された構造になっているので、香りはほとんど漏れませんが、ラテ系を作れるというメリットがあります。なので、セブン-イレブンさんは、ドリップ式とは別にカフェラテを作れるマシンを別に1台導入しているケースが多いですね。
――コーヒーの選択肢が増えるなか、次なる潮流は?
川島:販売競争が激化しているコンビニのワンコインコーヒーにしろ、イエナカコーヒーにしろ、これ以上コスパでしのぎを削るのは難しいでしょう。今後はいかにして「品質を向上させていくのか」が課題になってくると思います。品質改善に成功したコーヒーが、お客さんを総取りできるかもしれません。
<取材・文/永田明輝 撮影/詠祐真>