26歳男子が「孤独死現場の清掃人」YouTuberになった理由
春から夏にかけては遺体の発見が多くなる
――現状、年間でどれくらいの現場を担当されているのですか?
鈴木:特殊清掃と遺品整理を合わせると、年間で約200件ほどです。遺品整理には、お亡くなりになる前の生前整理も含まれます。特殊清掃のみで考えると、ペースとしては月あたりで4~6件ほど。ただ、春から夏にかけては暖かくなってニオイが発生しやすくなり、ご遺体が発見されるケースも増えるので、10件ほどになります。
――現場では、どういった流れで作業をされるのでしょうか?
鈴木:個人の方の場合ですが、お問合せをいただいてからお見積りに伺います。実際の現場を見てから経費や作業の流れを把握して、ご依頼主さまに納得をいただいてから動き出す流れとなりますね。ただ、すばやく作業をしないと室内や建物自体の原状回復が難しい場合には、その場ですぐさま作業へ取りかかる場合もあります。
――作業自体は、どれくらいの時間がかかるのでしょうか?
鈴木:現場の状況によるものの、早ければ1~2時間ほどで完了します。現場の状況や部屋の作りによっても異なるので、長ければ丸一日を費やす場合もあります。
“業界を変えなければ”と使命感を抱いた
――これまでの経験から、いちばん手間取った案件はどういったものでしたか?
鈴木:難しいですが、真夏の作業だったのは強く記憶に残っています。そこは発見から1か月ほど経っている現場だったのですが、実際に現場を確認したら、体液がすでに床の下まで染み込み、暑さもあって害虫がたくさん発生している状況でした。
最終的に一室まるまるリフォームせざるをえなかったのですが、近隣へニオイが移るのを防ぐために真夏日のさなかで防護服や防毒マスクを身につけ、換気扇もエアコンも動かさず、窓を閉め切ったまま丸一日作業しました。過酷な場所だったのを憶えています。
――初めて立ち会った現場の記憶も残っていますか?
鈴木:はっきりと残っています。初めはノウハウもなかったので、他の業者さんの仕事を見学させてもらいました。ただ、そこでの振る舞いを見て、どのようにご依頼主に寄り添うのかを考えるきっかけにもなりましたね。
向かったのはマンションの一室だったのですが、エレベーターでフロアに上がるとすでにご遺体から出たニオイが充満しているような状況でした。話には聞いていたけど「これが言われていたニオイか」と思い、驚いたのを憶えています。
――初めての現場で一番印象に残ったことは何ですか?
鈴木:ニオイ以上に記憶に焼き付いたのは、そこで見た業者さんたちの態度でした。お客さまの目の前で平気で「クサい」と言い放ったり、ご遺族が作業に立ち会ってくださっていのるにも関わらず「もう一服しようよ」と言ったり。
防護服や防毒マスクをするのは感染症などから身を守るために仕方ないことですが、現場に慣れているはずのないお客さまへの配慮がなく、ぞんざいな態度で仕事と向き合う姿勢を見て、「この業界を変えなければいけない」と思いました。