Jリーグ、電通、チームラボ…3社コラボをまとめた「プロマネ」の仕事とは?
Jリーグ、電通、チームラボ。異なる企業のまとめ方
――Jリーグ、電通、チームラボ。社風の違う3社をまとめるのは大変では?
下田:電通さんも、Jリーグさんもとてもやりやすかったです。電通さんはスポンサーさんも含めたバランス調整を自発的にやっていただき、Jリーグさんは会議の場などで素早く意思決定していただけました。
一方で、チームラボさんは、自分たちが好きな分野はとことん突き詰める。どういうUXやデザインが優れているかには非常に力を入れる会社で、そこはとても心強いのですが、一方で、全体のスケジュールの整合性や作業の優先度付けなどには弊社としてかなり気を使いました。
――成功するプロジェクト、失敗するプロジェクトの違いはどこにあるのでしょうか?
下田:やはり全体感が見えているプロジェクトマネージャーがいるかどうかですね例えば、あるSNSサービスの開発案件を手伝ったのですが、作業が全く網羅的に洗い出されていませんでした。
例えば、SNSを運営するにあたり、必要な業務設計のタスク、告知スケジュール、また開発面でもテストの計画や準備作業がマスタースケジュールになかったりと、色々と漏れていました。こうなってしまうと、次から次へと漏れたタスクの対応をやらないといけなくなってしまうので、大体スケジュールが遅れていきます。
今でもオファーは口コミでひっきりなしに
――アクセンチュアから独立に至るまでの経緯は?
下田:私は2006年9月にアクセンチュアのマネージャー職に就いたのですが、その頃から自分の仕事のポジションや、周囲の評価ばかり気になるようになって、いわゆる「サラリーマン根性」が出てきてしまったんです。
また今、仕事ができているのは「アクセンチュア」という会社の看板やリソースのおかげだという危機感もありました。早く独立して「自分だけの力で食えるようにならない」と、ダメだと思ったんです。
――起業してはじめてやった仕事は?
下田:2007年、ある生命保険会社を新たに立ち上げるに伴って、契約管理システムをゼロベースで作る案件でした。アクセンチュア時代の先輩の紹介だったのですが、20億円というかなり大型案件のプロジェクトマネジメントだったので大変でした。
ただ、それをクリアしたおかげで当時一緒に仕事をしていた方々から、「こっちもやってよ」とオファーしていただいたくようになりました。今でもオファーは基本、口コミでいただいています。割とひっきりなしにきます(笑)。
プロジェクトマネジメントの仕事は将来どうなる?
――最後に、今後の日本におけるプロマネの役割はどうなるでしょうか?
下田:AIやIoTの進化で、どんどん新しい技術が登場してきています。ただ、例えば、エンジニアの方とコミュニケーションをとるのって難しかったりします。「これ、ユークリッド距離的には問題ないんですけど」って言われても伝わらないですよね(笑)。
一方で大企業は、「AIを使ってなんかして」みたいなざっくりとしたオーダーをしてくることが多いので、ビジネスや技術を両方理解し、またクライアントの要望とエンジニアの言葉を理解し、とりまとめるような私たちのプロジェクトマネジメントの仕事はますます求められるようになってくると思います。
<取材・文/シルバー井荻>