ホメ殺しで、インターン生の時給400円。学生が進んで社畜になる実情
大学生がインターン先に選ぶのは、その大半が志望業界。当然、受け入れ先企業もそのことを承知しています。
ところが、なかには彼らにとって憧れの業界であるのをいいことにインターン本来の目的から逸脱し、低賃金で長時間働かせているケースもあります。
ミスをしても叱らず、とにかくホメまくった社長と上司
「今ならブラックインターンだったと分かりますが、働き始めた当時はそんな風には思っていませんでした。むしろ憧れの業界で働くことができ、毎日ハイテンションで張り切っていました」
そう話すのは、大学2年の夏休みに広告代理店でインターンとして働いていた大野和道さん(仮名・24歳)。社員30名ほどの小さな会社でしたが社長も指導役の営業部長も優しく、働きやすそうな雰囲気だったといいます。
「ミスをしても『次から気をつければいいから』くらいで叱られることはありませんでした。それよりも試しにやってみてと言われたウェブ広告用のコピー案を『スゴいじゃない。そのまま使えるよ』と絶賛されたり、ホメられることのほうが圧倒的に多かったです」
やがてウェブ用の求人広告のコピーや原稿を大量に任されるようになったとか。しかし、コピーライターに憧れていた大野さんは会社から頼られているのが嬉しくて、残業することに対しても抵抗はありませんでした。
「インターンにそれだけの仕事を任せ、残業までさせるって今ならおかしいって分かりますが、当時の自分は仕事の充実感に酔いしれていました」
「営業マンの才能がある!」とおだてられた結果…
さらに途中からは広告制作だけでなく、営業まで担当することに。
「『何事も経験だから』って一週間ほど部長と一緒に外回りを同行しただけで1人で飛び込み営業をさせられたんです。さすがに不安でしたが最初に訪れた飲食店でいきなり契約が取れてしまったんです。
部長に報告したら社長も一緒になって『営業マンの才能まであるなんてスゴいよ!』って。こっちもなんか乗せられちゃって、気がつくと広告制作と営業の両方をやらされていました」
ちなみにこの契約成立も大野さんが自力で取ったものではなく部長による仕込み。後にそのことを知るわけですが、この時点ではインターンながら1人の社畜として働きまくっていたそうです。