裁量労働制で働く20代女性の本音「上司の意識が旧態依然で…」
実際のところ休めるの? 残業代は?
では、実際に働いている人はメリットを享受できているのでしょうか? 2人の20代女性に聞いてみました。まずエンタメ業界で働く桃華さん(仮名・27歳・イベント運営・年収390万円)の会社では、2年ほど前に裁量労働制が導入されたそうです。
「うちでは、社用スマホの勤怠アプリで出/退勤時間を記録しています。1日のみなし労働時間は8時間。それを過ぎると自動的に残業モードに切り替わって残業時間に加算されます」
勤怠入力は外出先でもでき、自宅業務も月に20時間という上限があるものの可能なので、自由に働けている実感があるそうです。
「休日出勤もきちんと残業代に加算されますが、その際は上司命令の形を取る必要があるので、こちらから“この日に出勤命令をください”と要請すると同時に、振替休日の申請をします。
仕事が忙しくて休日を取りそびれることもありますが、平日にも休めています。平社員は業務時間がシステマチックに管理されてありがたいですが、上司の管理工数が増えている感は否めないですね」
労働環境が改善するも、感じるデメリットとは
このように大変クリーンな職場で、桃華さん自身は日々どのようなスケジュールで動いているのでしょうか。
「基本的に11時半頃に会社に行き、20時頃まで働いています。残業は月によって大きく変動しますが、だいたい20時間以内に収めるようにしています。年収に対して、働き方には満足しています」
しかし、そんな桃華さんの会社も裁量労働制を導入するまでは大変ブラックだったとか。
「朝9時半に出社し、終電・深夜タクシーは当たり前。“サービス残業はさせてなんぼ”という社風で、正直辛かったです。電通の高橋まつりさんの自殺事件のあとすぐに労働基準局の介入があり、現在の制度に改められました」
裁量労働制のメリットとデメリットについて、桃華さんは以下のように話します。
「メリットのひとつは出勤時間が遅くなったことで朝の通勤が格段に楽になったこと。もうひとつは産後復帰がしやすいこと。もともと縛りの少ない働き方なので、出産後も時短就労や自宅作業をすることに精神的負い目を感じることが少ないようです。
一方、デメリットに感じるのは、部署によってサービス残業になってしまうこと。勤怠アプリが計上してくれるのが100時間までなんです」
システム管理は便利な一方で、弊害もあるようです。しかし、働く時間を自分で決められるという裁量労働制のメリットはしっかり活かされていて、うらやましい限りです。