困難なキャバ嬢のお部屋探し。入居審査に6回落ちた女の子も
新宿、歌舞伎町――。キャバクラやホストクラブなど、水商売の店がひしめく日本一の歓楽街。その一角に、“水商売で働く人たち”をターゲットにした不動産屋「クレスタ」がある。
この「クレスタ」で現場を率いるのは、現役キャバ嬢としても活躍中の青木人生さん。前回のインタビューでは青木さんにクレスタと出合った経緯について話を聞いた。
今回は、なかなか部屋を借りにくいナイトワーカー向けの物件を探す青木さんの営業テクニックと、「水商売可」の物件を多数抱えるクレスタの情報網の裏側をお届けしよう。
ナイトワーカーのための「物件探し」コツは?
――水商売で働く方々のために、どのようにして物件を探しているのですか?
青木人生(以下、青木):もうとにかく情報ですよね。水商売でも大丈夫という物件の情報を探して見つけてキープする。だからウチの情報はこと水商売ということに関してはダントツだと思います。ウチのような不動産の仲介業者には、いろんな業者さんから図面が送られてくるんです。「こういう物件があります」というお知らせですね。
それが来たら、もうスタッフ全員で片っ端から電話するんです。それで水商売は大丈夫かどうかを確認する。中には親切な業者さんもいて、「水商売可」と書いてあったりしますが、やっぱり少ないので直接聞くしかないんです。
――そうやって地道に物件を探して……。
青木:そうなんですよ。で、可の物件を見つけたら、その管理会社さんの他の物件でもどうだろうと思ってさらに聞いて、だんだん仲良くなっていって、いい物件が空いたら優先的に紹介してもらったりとか。こうしてコネクションを作っていくのが大事ですよね。だから部屋を探しているお客さまへの営業もそうですけど、私の場合は管理会社への営業がメインかもしれません(笑)。
キャバ嬢の経験が活きた不動産営業の仕事
――そこにはキャバ嬢としての経験や腕が活きそうな気がしますね……。
青木:そうかもしれません。管理会社の担当者さんには個人の携帯にもバンバン電話しますしね。あとはお店。今も現役で働いているので、お店にも結構不動産関係の方がいらっしゃるんですよ。だからお店の名刺入れの中に会社の名刺も入れておいて、不動産屋さんだとわかったらそれを渡して「ウチで部屋探している子がいるんですけど入れてくれませんか?」って(笑)。そんなパターンも結構多い。
そういう営業では顔と名前を覚えてもらってナンボですから、会社の名刺にも写真を入れています。何しろ名前が「青木」で平凡だから、すぐに思い出してもらうために。そうやって覚えてもらって、信頼関係を築いていって、会社ごと取引してもらえるようにつなげていく。基本的にはキャバ嬢としての営業と変わらないですね(笑)。
――それだけの見えない努力を積み重ねて、物件を確保しているわけですね。ただ単に管理会社に「水商売可はありますか?」と聞くだけでは難しいと……。
青木:基本的に普通の業者さんは水商売のコを嫌がるんですが、その気持ちもわかるところがあって。どうしたって保証会社の審査が通りにくいのは知っているし、それでいて水商売の子って金額的には稼いでいるからお部屋探しの要望が高めなんです。