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20代の石工職人が語る伝統文化の未来「海外で石材文化を広めたい」

学び

職人の世界へ飛び込み日本との文化的な違いを知る

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 日本ワーキング・ホリデー協会に協力をあおぎ、太田さんが一度目にオーストラリアへ留学したのは2016年7月~2017年10月の約1年半でした。しかし、段階的に目標を決めたことから、当初は語学留学のために学生ビザで現地に渡ったといいます。

「最初の留学は、英語を学ぶというのが大きな目的でした。初めはそれこそ中学校で習うような『How are you?』すら分からなかったほどでしたが、日本英語検定協会のテスト『IETLS』なども活用して勉強していましたね。

 ただ、現地の石材屋さんとのコネクションを持つというのも、もうひとつの目的としてありました。そのため学生ビザでも短時間であれば働けるという仕組みがあったので、最後の2か月間は現地の石材屋さんで週3回ほどパートで働いていました」

 ビザの期限は限られているため、現地の職人と「次はワーキングホリデーで戻ってきなよ」と約束して一時帰国をした太田さん。

初めはコミュニケーションを取るのにも苦戦

 そこから約2か月後、2017年12月から2018年12月までの約1年間、ワーキングホリデーのビザを取得して再びオーストラリアへ渡りました。

「石材屋さんとのコネクション作りは目的にあったものの、1度目の留学では途中から英語の勉強に集中しようと切替えたんです。だから、本格的に現地で働き始めたのは2度目からでしたね。

 ただ、英語を習得した気にはなっていたものの、現地の職人の世界へ入ると石材業ならではの専門用語が飛び交ったり、初めはコミュニケーションを取るのにも苦戦していました。また、石の磨き方や扱っている機械の種類が異なっていたり、技術的な部分でのギャップも味わいました」

 文化的な違いを肌で感じながら、現地での生活を続けていた太田さん。一方で、日本の技術をみせたところ、現地の職人が「おお、日本の技術はすごいね」と評価されたのが嬉しかったと振り返ります。

単なる思い出づくりではなく目的を持って活用する

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太田さんの作品

 日本での仕事を一時でも捨てて、ワーキングホリデーを活用するというのは勇気ある決断にも思えます。有意義にするための秘訣として「自分なりの目標を持つこと」が必要だと言います。

「留学というと、現地へ行けば『英語を学べる』と考える人もいますが、思い出づくりにとどまるならば時間をムダにする可能性もあると思います。大切なのは『なぜ自分は海外へ行くべきなのか。ワーキングホリデーを活かしたいのか』を考えることですね。僕は仕事を探すために現地の石材屋さんへ『働かせてください』とお願いに行きましたが、目的に向かって、自分からガンガン動く姿勢も渡航先では必要になってくると思います」

 留学前、太田さんは自分なりの目標をご両親や友人へ宣言していったそうです。後戻りできない状態でオーストラリアへ渡った経験がある今、振り返ると「日本にいるだけだったらきっと海外への可能性を見出だせなかっただろうし、仕事もどこか楽しくなかったかもしれない」とつぶやきます。

 おぼろげながらにも自分の軸を持ち、海外へ渡ることは自分の可能性を拡げる手段として活用できるかもしれません。

<取材・文/カネコシュウヘイ>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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