Amazonの「採用面接で聞かれた20の質問」を分析したらスゴかった
役職が高いほど人間性が確認される
より高い役職へのエントリーになったりすると、経験や実績よりもむしろ、人間としてという部分がより重視されていくようだ。また、モラルや苦境に立った時の対応について、行動の面からその人材の内面を紐解いていくアプローチでもある。
一方で、日本企業における幹部の外部採用で失敗するパターンを考えてみたい。
そのひとつとして、「立派な経歴、もしくは印象を魅力に感じて採用してみたら、期待外れの働きぶりだった」ということがある。
実際、優秀な人材というのは多少環境やビジネスの前提が変わったところで適応していく。組織内で多くの人に影響を与える立場の人材に据えるならば、「人として」という部分や「ビジネスの常識」についての価値観が会社や業界とフィットしているかのほうが重要だろう。
例えば、最近はあまり聞かなくなったものの、一世代前の家電業界においては、下請けや取引先へのリベート要求はかなりあったようだ。大ヒット漫画『課長 島耕作』においてもリベートが絡んでサラリーマン人生を失う例が多々出てくる。
ある一流家電メーカーで少し名の売れた元幹部を役員で雇おうとした中小企業から聞いた例では、その元幹部は就任する前からいくつか心当たりのある潜在取引先に対して、
「今度C社の役員になることになった。受注できるように話を持っていくから、取引が成立した場合には、取引額の5%を報酬として出し続けろ」
という電話をしていた。
そのうちの1社から本当に役員になるのかという確認が当の中小企業に入ったためにその事実が発覚し、招へいは白紙に戻したものの、当の本人は何も悪びれず、むしろ「それで、会社に何か損が起こるのか?」と反論したそうだ。いくら能力や実績があったとしても、個人の信用がそのまま会社の信用に響くような規模の会社では怖くて雇えないだろう。
アマゾンは組織内での評価軸を統一している
今回調べていくなかで、具体的に何を聞いているかということ以上に、もっとも優れていると感じた点は、上述のような質問を、話の流れに応じてどの面接官も同じように聞いてくることだった。
また、先に済ませた面接でのやり取りが共有されたうえで次の面接官が臨んでいること、そして時間通りにきちんと終わっていたことであった。
中途採用に慣れていない日本企業であるほど、というよりもほとんどの会社が、面接での質問は人それぞれであることが多い。
同じ会社を受けていても、具体的にエピソードを掘り下げていく人もいれば、気合と根性だけを試すような人もいたり、第一印象だけを重視する人もいたりするのが普通である。
また、面接官同士の情報共有なんてほとんどされておらず、似たようなことを毎回聞かれたりもする。
人材について、採用した後に育てるというスタンスがあるのかないのかは不明だが、採用の入口において良い人材、自分たちの価値観にフィットするような人材しか入れないことで組織としての力を高めていくスタンスは、どの会社にとっても学ぶべきポイントが多々あるはずである。
<取材・文/bizSPA!取材班>