今の20代は退職金をもらえない? ゴールドマン・サックス出身のベンチャーCEOがアドバイス
20代の老後はかなりヤバい?
――資産運用に興味を持つ理由として「老後の不安」をあげる人は多いと思います。
甲斐:あおるわけじゃないですけど、今の20代は年金の支給年齢が引き上げられて、支給額も減るでしょう。さらに人生100年時代で健康寿命も伸びる。仕事をやめた後でどうやって生活していくのか、みなさん何かしらの不安感を持ってると思う。
さらに、今の20代は退職金がもらえないことも多いと思う。これは働き方改革の延長で、昔のように終身雇用でひとつの会社に40年勤める思想を持った人は少なくなっているのではないでしょうか。
――非常に厳しそうな印象です。
甲斐:僕も起業している身なので退職金なんてないですけど、将来のことを不安に思う若者は多いんじゃないかと思います。年金って老後のフローを担うんですよ。ここは節約などである程度コントロールできる。精神的な安定も含めて大事になってくるのがストックの部分です。
金融サービスは触れてみることが大切
――老後のストックとは?
甲斐:今までは退職金が老後のストックになってたと思うんです。普通、人生で一気に2000万円が入ってくることなんてないじゃないですか。それが老後の蓄えになってた。蓄えを崩しつつ、年金というフローで生活していくというのが今までのモデルケースだった。でも、今の若い人はフローが減るうえに、さらに退職金というストックもない場合が多い。このことにどれくらいの危機感を持っているのかですね。
――しかも寿命が長いわけですから、準備が必要ですね。
甲斐:そうです。だから今のインカムゲイン(給料)から10%でも20%でも投資に回して積み上げていくというのが大事です。そうすることで老後人生のストックを積んでいけると考えています。その手段は今覚えておくべき。
金融サービスって触れてみることがとても大切で、だけど分厚い教科書を渡されて「学んで下さい」と言われても誰もやらないじゃないですか。だから1回投資体験してみて、相場の動きとかを感じてみると一気にハードルが下がるはず。投資体験は若い頃からしてほしいと思ってます。何ならセンター試験の選択科目に「金融」があってもいいくらい(笑)。
【甲斐真一郎】
株式会社FOLIO代表取締役。京都大学法学部卒。学生時代に1年半ほどプロボクサーとして活動。2006年にゴールドマン・サックス証券入社。 金利トレーディング部において日本国債・金利デリバティブトレーディングに従事。2010年、バークレイズ証券同部署に転籍し、アルゴリズム・金利オプショントレーディングの責任者を兼任。2015年11月にバークレイズ証券を退職、FOLIOを起業