メンタル弱めの元自衛官が見つけた“幸せ”の正体「人生は味のないプレーンヨーグルト」
「陸上自衛隊」と聞くと、精神的にも、肉体的にもタフな人物をイメージするかもしれない。その一方で、元幹部自衛官としてエリートを目指して挫折し、現在は紆余曲折しながら生きているのがTwitterフォロワー20万人超えの人気アカウントぱやぱやくん(@paya_paya_kun)だ。
今回、そんなぱやぱやくんの愛とユーモアにあふれた「ますらお(益荒男。本来はりっぱな男、勇気のある強い男の意だが、ここでは「陸上自衛官」を指す)ライフ」から、「心を回復させるメンタルハック」「気持ちを切り替える技術」などを紹介した新刊『自己肯定感低めの元幹部自衛官が教える「心が疲れない54カ条」』(PHP研究所)の一部を再編集して紹介する(以下、同書より抜粋)。
自分の心を守る「基本的な考え方」
本記事のテーマである「メンタルが弱くても生き延びよう」を考えるにあたって、「幸せ」というテーマは切っても切り離せません。なぜなら、幸せとは「生存確率が上がること」だと私は自衛隊の経験から考えているからです。
しかし、「幸せとは何か」と具体的に説明できる方は、きっと多くはないのではないでしょうか? ここでまず「幸せ」とは何かを考えてみたいと思います。
私は陸上自衛隊の演習で何日もろくに休めず、風呂も入れずに泥まみれで訓練をした経験があります。当然、身体は臭くなりますし、疲労で身体が筋肉痛になります。寝る場所もテントではなく、草むらや掩体(身を守るための穴)になりますので、疲労もほとんど取ることができません。
「自分は世界一の幸せ者」と感じた飲み物
そうした演習が終了し、演習場にあるボロボロの隊舎に戻ると凄まじい幸福感を覚えました。まず屋根と壁があるので、風雨で体力が削られることがありません。蛇口をひねれば清潔な水が出ますし、汚いマットレスのベッドでも、草むらとは比較にならないぐらい疲労が取れます。
自販機に行けばコーラやビールが気軽に購入でき、栄養と水分補給に困ることがありません。演習終了後に風呂から出てコーラを飲むと、「自分は世界一の幸せ者だ」と私は思ったものです。
自衛隊退職後に「なぜ、あれほど幸せだったのだろうか」と疑問に感じていましたが、幸せとは「生存確率を上げるためのプログラム」という理論に出合って納得しました。原始人の時から人は「少しでも安全な場所を見つける」「少しでもいい食料を見つける」「有能な仲間を見つける」という行動パターンがあり、その行動がうまくいくと「満たされた」と幸福を感じるようです。
この理論で言えば、私が演習後に感じた幸福は「生存確率が大きく上がった」ことに起因していたように思えました。