「新聞配達で学費を稼いだ」“サウナ起業家”が語る、商売の原体験と目標
近年、サウナブームが再燃しており、何かとサウナに関する話題を目にすることが多い。しかし、サウナを利用する人が減っているという調査結果も出ている。日本サウナ総研による「日本のサウナ実態調査2022」によると、2021年のサウナ愛好家人口は、コロナ下もあって前年から約1000万人も減少したという。
これは多くのサウナ施設の閉館にもつながりかねない状況である。そんななか、サウナ界を盛り上げようと奮闘しているのが、サウナの口コミメディアサイト「サウナタイム」代表の瀬尾圭太氏(@chieskta)だ。
インタビュー前半では、瀬尾さんが脱サラし、サウナタイムを始めた経緯をうかがった。後半では、5月にローンチした月額1,200円のサウナのサブスク「サウナタイムパス」について、また、ひとりで運営している理由などについて話を聞いた。
【インタビュー前半の記事】⇒《“サウナ好き”2児の父が脱サラ起業、年収の変化は?「自分でスポンサー営業も」》を読む
1200円で無料サウナが利用できる
――サウナタイムパスは、“月額1200円で、賛同施設ごとに定められた条件を達成すれば入館料無料で利用できる”というサブスクなんですね。
瀬尾圭太(以下、瀬尾):はい。いち施設につき、1か月に1回無料で使えます。ただし、施設が提示する利用条件を必ずクリアしてくださいね、という仕組みになっています。
――ローンチしてすぐにたくさんの会員登録があったと聞きますが……。現在の会員数や経営状況はどんな感じでしょうか?
瀬尾:会員数は現在(2022年6月27日時点)仮登録を含め、3000人くらいですね。施設はだいたい50か所ですが、他にもすでに提携施設として決まっているところもあります。とはいえ、サウナタイムパスはサーバー費用もかかりますし、先に支払っている開発費とかもあるので、まだ利益は全然出ていないです。
会社がTOBされ、心身共に疲弊
――なぜ「サウナ」だったんですか? サウナ好きになったキッカケなどあるのでしょうか?
瀬尾:お風呂やサウナは子供の頃から好きだったというのもありますが……。もうひとつの理由は、以前勤めていた会社が別の大手からTOB(株主公開買付け)を受けたんです。
当時、僕は営業統括として経営ボードにいて、TOBで経営層が刷新され、新しい経営ボードに自分だけが残されたんですよ。というのは、TOBした会社はブライダルの会社ではなかったので、ブライダルにある程度詳しくて、かつ営業ができる人間を経営ボードに入れておかないと分からないこともあるだろうということだったんです。
経営会議が毎週火曜日にあるんですけれども、自分以外全員新しい、TOBした会社の人間で、ブライダルのことは自分だけ知っているという感じでした。そんななかで、ブライダルの事業の話をするのは、もう、猛烈なストレスというか、業界の話も通じないですし……。もともと肉体と精神が強いタイプではあるんですが、もうとにかく朝から晩まで新しい社長や役員陣に揉まれて、さすがに疲弊してきたんです。