コロナで売上60%減も… レンタカー業界、追い風にうまく乗れるかが今後のカギに
ソニー損保「2022年 新成人のカーライフ意識調査」によれば、2022年の新成人は運転免許保有率が57.2%とのことです。これは、前年比から5.9ポイント上昇した数値。若者の車離れが叫ばれる昨今にしては、少々意外な結果のように思えます。
とはいえ、特に都心部の若者でマイカーを所持できる人は少数派のはず。運転するとしたらレンタカーやカーシェアといったサービスを活用することになるでしょう。今回の記事では、レンタカー業界全体の売上を分析しつつ、各社が提供するサービスの特徴を比較していきたいと思います。
変化の兆しを見せるレンタカー業界
レンタカー業界(※リースを含まない)の売上は個人向けのほか、企業向けのレンタルで構成されています。都市部では個人・法人向けがメインですが、地方都市では観光客や出張者向けのサービスが主なようです。
コロナ禍では消費者が休日の外出・旅行を控えるほか、テレワークの普及や出張の自粛で法人向けの需要も減少しました。移動需要の減少で打撃を受けたのは航空業界と同じ理屈です。経済産業省の特定サービス産業動態統計速報によると、2020年5月における業界全体の売上高はなんと前年同月比でマイナス60%に。
いまだに回復の兆しは見えていませんが、消費者の間では「シェアリングエコノミー」が普及しつつあるなど、レンタカー業界も変化への対応が求められています。
シェアリングエコノミーが追い風に?
とはいえ、回復傾向にあるものの、相次ぐ緊急事態宣言などでたびたびレンタカー業界の売上は減少し、通年でみると2020年、2021年はいずれも2019年の水準には至っていません。観光客に支えられている沖縄県のレンタカー業者は特に深刻で、すでに2社が倒産しました。そのうちの1社、トラベルレンタカーの負債総額は23億円にも上ります。
依然コロナ禍は続き、短期では不安定要素を抱えるレンタカー業界ですが、長期では消費志向の変化が起きており、業界にとって追い風となっています。やはり地方では車が欠かせないという意見が多いものの、都市部の若者の間では「車不要論」は根強く、レンタルやシェアリングで十分という意見が聞かれます。
所有による高い維持費がネックのようです。こうした消費者の思考をビジネスチャンスとしてとらえ、従来の店舗型ではなく新たな形態のサービスを提供する企業も現れています。車離れが進むなか、各社がどのようなサービスを提供しているか見ていきましょう。