異例の物価上昇でも「政策は小手先だらけ」の岸田政権。消費税は戦犯、ガソリン税は停止すべき
2022年に入ってから原材料などの価格高騰を理由として、マクドナルドやうまい棒といった食料品の値上げが相次いでおり、私たちの生活が圧迫されることは避けられない状況だ。
前回の記事では、なぜ食料品の値上げが次々起きているのかを聞いた結果、現在の日本はインフレとデフレが入り混じったいびつな状態であることがわかった。
今回はインフレ傾向にどのように備えるべきなのか、引き続き経済学者であり立命館大学教授の松尾匡氏に話を聞いた。
金利を引き上げたら失業や倒産が続出?
インフレには“ディマンド・プル・インフレ”と“コスト・プッシュ・インフレ”の2種類あるのは前回の記事の通りだ。松尾氏は「物価は上がるがそれ以上に給与が上がるディマンド・プル・インフレの場合、総需要を冷やす方法が有効です」と各インフレ時に講じるべき対応策を解説する。
「例えば、中央銀行が金利を引き上げてお金を借りにくくすれば、設備投資を抑えることが可能です。また、金利が上がれば国内での資金運用が有利になり、海外から資金が流入して、円を買うようになります。その結果、円高になって輸出を妨げることでき、総需要を冷やすことが可能になるのです。
しかし、日本は原油や穀物などの価格高騰、円安進行などに伴う輸入コスト増によるコスト・プッシュ・インフレです。そのような手段はとれません。現在、国民の懐事情が大変厳しいので、輸入コストが増加してもそのまま価格に転嫁することができないため、多くの業者が苦しんでいます。今、金利引き上げすると、ただでさえ不足している総需要はより一層抑えられ、失業や倒産が続出するでしょう」
物価上昇の影響を受けにくくするには
そして、コスト・プッシュ・インフレ時の対策を説明する。
「要するに総需要を拡大しないといけません。なぜなら、ディマンド・プル・インフレ時とは異なり、物価の上がり方に対して賃金の上がり方が少なく、人々の生活が苦しくなるからです。総需要を拡大することで、雇用が増え、人手不足になります。そうなれば、賃金が上がりやすくなり、物価上昇の影響を受けにくくなるのです。
総需要を拡大するためには、民間にはお金がないのだから、政府が積極的に財政支出を行い、市場にお金がまわれば良い。例えば、徹底したコロナ補償、医療機関の充実、保健所など検査・防疫体制の拡充、福祉業界や教育業界の整備、防災を目的とした公共投資の増加などが挙げられます」