女優・徳永えり、“道に迷った”時期に得た答え「仕事と自分を同じ軸に置かないで」
『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の新作『ポプラン』が公開中です。
家族や友人を蔑ろにしながら、成功を収めた経営者の田上(皆川暢二)のイチモツが、ある朝、突然失くなった!「ポプランの会」なる集会に行きついた田上は、そこで「時速200キロで飛びまわる」「6日以内に捕まえねば元に戻らない」「居場所は自分自身が知っている」と聞き、疎遠だった人々のもとを訪れはじめます。
主人公・田上の元妻を演じた徳永えりさん(33)にインタビュー。一見、キワモノに思えて、実は自分探しの旅を描いた本作にちなみ、徳永さんのベースになっている子どもの頃からの教えや、自分を見失いそうになっていた30歳目前のときのことを聞きました。
“ポプラン”とは何ぞや?
――脚本を読まれたとき、率直にどう思いました?
徳永えり(以下、徳永):「“ポプラン”とは何ぞや?」となりましたね(笑)。結局は自分探しの物語なのですが、その中心にある「“ポプラン”とは?」と。どうやって撮るんだろうと文字の時点では想像に限界がありました。でも私が演じる元奥さんと主人公との関係はリアルなものですし、その距離感は、ちゃんとやろうと。
自分には新しい家族がいるのに、そこに元夫が来る。それって結構嫌な状況だと思うんですけど、でも本当に嫌だったら最初から突き放してもいい。けど彼女なりに「最近、ご両親に会ってるの?」とか、「ちゃんと実家に帰ったほうがいいんじゃない?」といった気遣いを見せるのは、たぶん本音だと思ったので、田上に対しても今の夫に対しても、フラットにいようと心がけていました。
――彼女の今の土台がしっかりしているから、そういられるのでしょうか。
徳永:たぶんそうだと思います。
子どもにもちゃんと人権がある
――一見突拍子もないアイデアですが、確かに自分探しの物語です。徳永さんは30代ですけど、今の自分を作っているベースはなんだと感じますか?
徳永:やっぱり親でしょうね。特に母親が元保育士だったこともあって、子どもにもちゃんと人権があるのだということを、小さな頃から教えてもらっていました。ワークショップみたいなものにも参加してました。
――ワークショップ?
徳永:たとえばチラシの切り抜きがたくさんあって、それを好きにコラージュするんです。言葉でうまく伝えられない子どもでも、コラージュの仕方で、その子のメンタルが分かったりします。ほかにもお家を作ってみようという課題になると、すごく大きなものを作ったり、自分がいないものを作ったりと、いろんな子がいるんです。そこで、ちゃんと一人ひとりの気持ちを尊重することを教えてもらいました。