早期リタイヤ「FIRE」を目指す人が急増。できる人とできない人の差
学生や20代、30代の人たちを中心にFIREを目指す人が増えています。FIREとは、「働く収入だけに依存せず、資産運用益で生活する人」のこと。
昔からアーリーリタイアメントといって、高所得者が若いうちにたくさん稼いで、悠々自適の生活を送るという考えがありました。例えば、外資系金融機関、外資系コンサルティング会社に就職し、寝る間も惜しんで働いて、高収入とたくさんの退職金を得る。蓄えたお金で不動産を購入し家賃収入を得て悠々自適に生活するのが、ひと昔前のアーリーリタイアメントでした。
ところが、FIREは違います。一般的な収入の会社員や公務員が蓄財と投資に励み、なるべく若いうちに資産運用益だけで生活できるような状態を目指しているのです。つまり、一部のエリートだけに許された方法ではなく、誰しも取り組むことのできる敷居の高さになっているのです。
FIREってどんな状態?
実際にFIREするためにはどんな条件を達成する必要があるのでしょうか。FIREについて書かれた書籍では「4%ルール」という言葉が出てきます。金融資産を利回り4%で運用し、運用益だけで生活できるようにする。それがFIREの目指すところです。
例えば、毎月の生活費が10万円(実際はもっと必要でしょうが、たとえ話なのであえてキリの良い金額に)であれば、年間120万円の資金が必要です。120万円の運用益を利回り4%で確保するには、3000万円の資金が必要になります。生活費が毎月20万円であれば、6000万円あれば良いことになります。
投資には税金がつきものです。配当金を直接受け取る場合は20%課税されます。さらに今後、金融課税を20%から25~30%にするという議論もあるため、実際に必要となる資金は3000万円、6000万円より、もっと多くなるかもしれません。NISAやつみたてNISAなどの少額投資非課税制度を活用するのもいいでしょう。iDeCoは60歳まで引き出せないので、FIREには不向きです。
3000万円を10年で貯める方法
おそらく4%で運用し続けるなんて難しいという意見、3000万円や6000万円などとても貯められないという意見もあるでしょう。
3000万円を10年で貯めるには年間300万円必要です。毎月25万円貯め続けることになります。生活費120万円+貯蓄300万円=手取り420万円が必要と考えると、家族構成にもよりますが年収はおおよそ550万円必要になります 。年間120万円で生活するには、住居費を抑える必要があります。そのため、実家住まいが前提となりそうです。
また、積立投資など投資しながらお金を貯めていく場合、毎月20万円を10年間、4%で運用し続けると2945万円となり、ほぼ3000万円といえる状態です。
そのため、単なる貯蓄だけでなく、貯めながら運用するほうが毎月の積立額が少なくてすみます。または、毎月25万円ずつ積立投資を続けると3681万円になります。10年待たずに8年ほどでFIREが実現できます。