コメダ珈琲が絶好調。ドトールとサンマルクに圧倒的勝利の理由
コメダ珈琲がコロナ禍でも好調です。運営元の「コメダホールディングス」2021年2月期の売上高にあたる売上収益は288億3600億円で前期比7.6%減となったものの、ドトールの26.7%減、サンマルクの34.7%減(予想)の2桁減と比較すると驚異的な数字です。
そして、コメダ珈琲は55億1100万円(営業利益)の黒字化にも成功しました。こちらも、ドトール43億1900万円、サンマルク35億2800万円の営業赤字に比べて際立っています。
同じカフェでこれほどの差が出ているのはなぜでしょうか。コメダは過去3期の推移を見ても着実に業績を伸ばしており、ドトール、サンマルクと比較すると極めて安定しています。この記事では、コメダ珈琲と他のカフェチェーンのビジネスモデルの違い、出店形態と客層の違いに注目してコロナ禍でも強い企業や店舗がどのようなものかあぶり出します。
コメダは「販管費率」が圧倒的に低い
コメダが、外食業界最大の脅威にさらされても安定している理由は単純です。チェーン系飲食企業で重荷となる販管費率(売上に対する販売費および一般管理費の比率)が低いためです。
新型コロナウイルスの感染拡大は、客数の急減を招きました。その結果、店舗の地代家賃や人件費の負担が大きくなり、ドトールは販管費率が62.5%(コロナ前は52.6%)、サンマルクは87.8%(同72.2%)に膨らんでいます。営業赤字に陥った2社ともにコロナ前と比較して販管費率が10ポイント以上増加したのです。
一方、コメダは販管費率が14.0%から17.9%と4%ポイントほどしか変わっていません。そもそも他社と比較して圧倒的に低いのが特徴となっています。
秘密は販管費率を抑えるフランチャイズモデル
コメダの販管費率が低く、原価率が高いのはフランチャイズ加盟店からの収入で成り立っているためです。コメダの2021年2月末時点での店舗数は914店、そのうち直営店はわずか50店舗。94.5%がフランチャイズ加盟店です。
ドトールは1296店舗中、直営店は358店、フランチャイズは72.3%です。そしてサンマルクは3.6%がフランチャイズと、直営主導型のビジネスを展開しています。これがコロナ禍でサンマルクの販管費率が跳ね上がった要因です。
コメダは自社のパン工場を持っています。工場で製造した食品をフランチャイズ加盟店に卸しています。コメダの原価は主に製造原価となります。
直営店型のビジネスは食材原価を30%以下に抑えて商売をするのが普通です。その代わり、地代家賃(10%程度)や人件費(20%程度)などの販管費が重くなります。自社工場を持っているコメダの場合、提供する料理の味を担保するために製造原価を下げることが難しい一方、店舗運営にかかる経費を削減できるのです。
そのため、コメダはフランチャイズの加盟店オーナーの閉店防止に全力を注がなければならないことになります。