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24歳起業家、光触媒コーティングで「ウイルス不活性化」を目指す理由

ビジネス

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業はウィズコロナ時代を意識した経営を求められている。従業員だけでなく、消費者、来場者に対する手洗いうがい、マスク着用など感染予防の施策を設けることは今や常識だ。衛生意識の高まりを受けて注目されているのが「光触媒」だ。光エネルギーに反応して、ニオイ成分や菌、ウイルスなどを分解してくれるこの技術は、これまで外壁塗料や床や家具などのコーティングなどに使われてきた。

光触媒

株式会社ONEの小田滉稀さん

 そんな光触媒の除菌・抗菌効果に着目し、独自の技術でそれを進化させているのが、2020年6月に設立されたばかりのベンチャー企業「株式会社ONE」だ。創業メンバーの一人である小田滉稀COO(最高執行責任者)は、なんとまだ24歳だ。今回、光触媒のリーディングカンパニーを掲げる同社の小田氏に、責任ある役職を任されるようになった経緯や、今後の目標について話を聞いた。

代表との関係と家業について

 ONEの創業メンバー4人は、もともと知り合いだった。小田氏は「代表の今上(政剛)とはビジネス交流会で知り合いましたが、実は、父親とも繋がりがあったんです」と語る。

「私は家系が京都の不動産業で、10代からそこで働いていました。今上は東京で会計事務所をやっていたのですが、その私の実家も以前からお世話になっていたんです」

 そんな4人が光触媒を知るきっかけは、韓国国内の光触媒事情について知ったことだったという。

創業メンバーの一人が 、光触媒の技術を持つ韓国メーカーとつながることができたんです。韓国では2015年にSARSやMARSコロナウイルスの感染拡大があり、その際に政府が光触媒の開発、活用に力を入れていました。優れた技術を持つ工場が数多くあり、これを日本でも普及させようと、昨年2019年末から動き出しました」

抗菌・除菌効果がある光触媒のしくみ

光触媒

「サンガスタジアム by KYOCERA」で光触媒コーティングを施工する様子

 実際、小田氏らが光触媒を知るようになったのは、新型コロナウイルス感染症が話題になる以前の2019年のことだった。そこから光触媒について学ぶため、「目から血が出るくらい資料を読み込んだ」と語る。

 確かに、読者の中にも光触媒についてピンとこない人も多いだろう。ここで、改めて「光触媒」とはどのような技術なのか解説をしてもらった。

「光触媒は、酸化チタン光触媒とも呼ばれ、酸化チタンに紫外光を当てることで、ウイルスや菌などを 分解できるしくみのことです。20世紀初頭からあったのですが、1960年代後半から科学的な発見があり、実用化に向けた改良が重ねられ、今日では塗料や床材にも配合されています

 アルコールと違い、刺激性や腐食性もなく、本来の効果は半永久的で、当社の次世代型光触媒コーティングサービス『FRESHION』ではみなさんの利用が多い会議室といった場所でも2年ほど持続します。また、当社が奈良県立医科大学医学部微生物感染症学講座に受託し、光触媒加工したガラス板を用いて行った調査では、光触媒が物質の表面についた新型コロナウイルスによる接触感染防止に有効である可能性が考えられました。なお、空間に浮遊するウイルスへの効果、人体への影響については検証を行っていません」

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