「タピオカ×選挙に行こう」仕掛け人が語る“女子力への違和感”と新たな挑戦
「デジタルネイティブ」と言われるミレニアル世代やZ世代は、物心ついた時からスマホやSNSを使いこなし、多様な価値観に触れながらライフスタイルを送る。いわばインターネットが当たり前の時代に育ってきた。
若者カルチャーの発信地として名高い渋谷の街を舞台に、ソーシャルデザインをテーマにした都市フェスティバル「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2020(以下SIW)」が11月7日から15日にかけて開催された。
今回は、同イベントの中で行われたセッションの概要と、そこに登壇し、ミレニアル世代やZ世代から多くの支持を集める株式会社arca CEO/クリエイティブディレクターの辻愛沙子氏へインタビューをお送りする。
20代起業家が思うリアルな心情とは
去る11月10日に行われたSIWのオンラインセッション「Gen Zとミレニアル起業家の本音」には、日本最大級の古着コミュニティ「古着女子(@furuzyo)」を運営し、ファッションD2Cブランドを展開する株式会社yutori CEOの片石貴展氏と、幅広いジャンルでクリエイティブディレクションを手がける辻愛沙子氏が登壇。
20代の若手起業家が、経営をしていてリアルに感じることや、どんな未来を描き何をモチベーションに活動しているのか“本音”で語り合った。まず、両者に共通するのは“カルチャー”に影響を受けていること。
「高校生から古着やストリートカルチャーが好きだった」と話す片石氏は、ストリート発のアーティストやクリエイターが個性を輝かせ、さまざまな葛藤の中で変化していく姿に感化されたという。「何者でもない普通の人が音楽とかグラフィティとか一芸に秀でることで、ストリートからメインストリームへと活躍の場を移していく。そんなストリートならではのリアリティや生き様みたいなのに影響され、起業を志すようになりました」(片石氏)。
他方、辻氏も、留学時代に日本の原宿カルチャーに興味を持った経緯がある。
「原宿カルチャーが大好きでした。青文字系のファッション雑誌『Zipper』が私のバイブルだったんですけど、海外にいたので売ってないじゃないですか。なのでわざわざ取り寄せてまで読んでました(笑)。特にZipperのモデルだったAMOさんの独特なパンクとガーリーを兼ね合わせたファッションスタイルに影響を受けましたね」
自らのスタンスや思想を大事にしている
片石氏の起業のきっかけは、新卒で入ったスマホゲーム会社で働いている時に立ち上げたインスタグラム(インスタ)のアカウント「古着女子」だった。自分の好きな「古着」をテーマに女性の古着コーデを発信したところ、「古着好きな人」に刺さるような独特の世界観がウケ、わずか10か月でフォロワー数20万人超に成長。
「自分含めてアパレル経験者はあまりいませんでしたが、『なぜかわからないけど、古着や洋服がピュアに好き』という熱い想いを持ってこれまでやってきたからこそ、『古着女子』のコミュニティやプロデュースするD2Cブランドに、同じ想いや価値観を持ったユーザーが多く集まり、大きくなっていったと思います」(片石氏)
辻氏も、Z世代やミレニアル世代の女性をターゲットに、4マス(ラジオ、テレビ、新聞、雑誌)に依存しないSNSを活用したプロモーションに強みを持っている。さらに「社会派クリエイティブ」を掲げ、社会の不均衡さに対する自らの想いやスタンスをSNSで発信し、同世代からの共感を生み出している。
「大手の広告代理店だとSNS禁止の所もあるなか、うちはベンチャーなので、私個人の思想や心情をSNSで発信し、自分のスタンスを明確にしています。同世代の女性が感じる等身大な想いに寄り添い、日本のジェンダーギャップという課題に対して、少しでも若者の声を聞いてもらう土壌を作れるよう意識しています」
自らの世界観を全面に出すことで顧客と“共犯関係”を築く。そこからブランドやサービスに対するファンの熱量が高まり、大きなムーブメントを起こす原動力となるわけだ。