店長のパワハラを発見するために…職場でLINEを交換した結果
飲食店やアパレルショップなどチェーン店において、店長はいわば現場の最高責任者。会社の方針には従わなければなりませんが、アルバイトやパートの採用人事権のほか、店舗経営に関してもある程度の裁量が認められています。
しかし、なかにはそれを勘違いして絶対権力者として振る舞い、店の従業員にパワハラ的な態度を取る店長もいるようです。
バイトと気軽にやりとりできる関係に
「こうした問題は業種に関係なくチェーン展開するような会社であれば、どこにでも起こりうる可能性があります。いくら本部の人間が目を光らせようともパワハラを行う店長は隠蔽しようとするから、実態を把握するのが難しいんです」
そう明かすのは、居酒屋やカフェなどの飲食店を展開する会社に勤める清水真之さん(仮名・28歳)。実は、彼自身も大学時代にアルバイト先のカー用品店で店長からのパワハラに苦しんだ経験がありました。
「特別作業が遅かったわけじゃないのに『チンタラするな!』って怒鳴られたり、テスト期間中は休ませてくれる約束だったのに一方的に約束を破られました。
ただ、当時は会社に店長のパワハラを訴えたりはせず、逃げるようにバイトを辞めてしまいました。その経験があったから自分みたいにパワハラで苦しむ人を見たくなかったし、彼らの力になりたいと思ったんです」
人手不足の店舗でLINEを交換
そこで閃(ひらめ)いたのが、アルバイトやパートのスタッフたちと仲良くなり、気軽に相談してもらえる関係を築くこと。仕事柄、急に辞めて人手不足になった店舗に数日~半月ほど補充人員として一時的に働くことがあるそうで、そのときに積極的に言葉を交わしてLINEを交換していたそうです。
「会社支給のスマホで専用のアカウントを作り、上司にも事前に提案したうえでOKをもらいました。普段はバイトスタッフたちとの挨拶や雑談程度の他愛のないやりとりでしたが、本部に戻る際、『困ったことがあったら連絡して。力になるから』とメッセージを送り、告発しやすいような環境を作っていました。仮にその店の店長が問題のある人物だったとしても、私が現場で働いている間は尻尾を出しませんからね」
すると、清水さんが以前ヘルプで入っていたダイニングバーのアルバイトの男性専門学校生から店長のパワハラを告発するメッセージが届きます。
すぐに彼に連絡して詳細を確認。店長に仕事中、何度も暴言を浴びせられ、LINEでも威圧的な内容のメッセージがたびたび送られてきたといいます。