「GoToキャンペーン」は英語としてヘン。プロ通訳が苦笑
新型コロナウイルスの影響で旅行業界などへの経済的な影響が大きく、Go to travelキャンペーンが話題になっています。第2波(Second wave)に関する懸念も大きいですが、キャンペーンの名前も話題になっています。
政府機関だけではなく、企業などが使う英語のフレーズや表現には、間違ったものは非常に多く、正しくても「普通はこんな言い方しない」というものも少なくありません。このGo to travelもおかしな響きがする英語表現のひとつ。
【第82回】Go to travel
「旅行に行く」を英語にするなら、Go on a tripが最も一般的です。日常会話では「夏休み、何するの?」と聞かれて「旅行に行くの」と答えるより、「ハワイに行くの」など行き先を言うことのほうが多いでしょう。
従って、英語でも、I am going on a trip.とかI want to go on a trip.はそれほど耳にする表現ではありません。それよりも、I am going to Kyoto.とか、I want to go to Paris.というほうが一般的です。
どちらにしても、Go toの後には目的地が入りますので、Go to travelと言ったら、「移動に行く」と言うのと同じで、言いたいことはわかるけれど、おかしな響きがあります。
現地人が聞いて「自然な表現」か
Go travelはI went traveling.と言えますから、正しい表現ではあります。ただ、まず聞かない表現です。正しいからと言って、ネイティブスピーカーが聞いて「自然な表現」と判断するとは限りません。
Travelを名詞として使うときには、My job requires a lot of travel.などと言えます。仕事で移動が多い、ということ。
Travelは日帰りの出張というより、長距離の移動の意味が強いです。外回りの仕事で移動がたくさんあっても、例えば近隣の都道府県を日帰りで回っている場合には、Travelとは言いません。