年収1000万円のウラに…人材を食い潰す「魔のミーティング」の実態
32歳のときに、大手アパレル会社からベンチャー企業に転職し、幹部候補生としてスタートした柳川寛貴さん(仮名・35歳)。
ところがベンチャー企業のコミットメントミーティングに馴染めず、1年足らずで退職します。コミットメントミーティングに象徴されるベンチャー企業の実態とは何なのでしょうか。
ベンチャーアパレルの幹部候補生に
「従業員数千人規模の大手アパレルA社に就職が決まると、両親がこれで安泰だと大喜びしました。ところが入社してみてわかったのは、大手でも40歳以上がリストラの対象。そこで一番の売り時に転職しようと、動きはじめました」
海外進出で話題の著名なアパレルB社を最終面接で落ちてしまった柳川さん、今度はアジアに出店し、今後は欧米進出も図るという急成長のベンチャーアパレルC社に転職を決めます。
そこは従業員が800人ほどの規模の会社で、その幹部候補生として、柳川さんは販売員からスタート。都内の駅ビルにある若者向けの店舗で、10~20代の若い女性スタッフとともに、初めて販売を経験しますが、ある壁にぶつかってしまいます。
魔のコミットメントミーティングの時間
「若い世代と一緒に、声を張り上げて販売するのは、苦ではありませんでしたが、一番困ったのが、コミットメントミーティングです」
コミットメントミーティングというのは、毎月の集会で「これをやります!」と各自が宣言する決起集会のようなものです。
「毎週マネージャーとのミーティングでノルマが課されますが、目標が達成できないと、週末にマネージャーからメールがじゃんじゃん届き、その内容はまさにつるし上げでした。さらに『達成できないのは、どうしてですか。いつ達成するのですか』と精神的に追い詰めてくる。『次は達成します』と返信するしかないのですが、次の週でも達成できないと、同じことの繰り返し」
こうやって、「できない馬鹿者」と自覚させて、「辞表を出させるのが会社の狙いだったことが次第にわかってきた」と、柳川さんは語ります。
「会社は、社員を育成するという発想がまったくないのです。10~40代の社員を『売上』というふるいに一斉にかけて、できる人だけ残ればよいという考えだということが次第にわかってきました」