定期券の分割購入で通勤がお得に。年4万円浮く路線も
新入社員1年目の春、皆さんがした一番高い買い物は何だったろうか。新型のビジネスノート、ブランドロゴの入った通勤カバン、はたまた見栄を張った腕時計……。いろいろあるだろうが、一番高い買い物の思い出を聞いてみると「通勤定期券」という答えが案外多い。
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通勤ルートによっては「重たい買い物」定期券
ペラペラの定期券だが、通勤ルートによっては「重たい買い物」になることも。たとえば東京駅を目的地として考えた場合、JR中央線なら日野駅(東京都日野市)以遠、JR東海道線なら戸塚駅(横浜市戸塚区)以遠からだと、6か月定期の額面が10万円の大台に乗る。
会社から通勤手当が出るとはいえ、財布から一気に10万円が消えるというのは、フレッシュマンにとってはなかなか背筋が寒い体験である。持ち合わせが足りなかったり、様子見を兼ねて1か月、3か月の定期券にした、という人もいるかもしれない。
ところでこの通勤定期券には、条件次第で大幅割引となる裏ワザがある。もちろん「裏」といっても、違法行為を行うわけではない。そのテクニックというのは、知る人ぞ知る「分割購入」である。
定期代が安くなる「分割購入」とは
「遠くまで行けば行くほど切符の値段も高い」というのは常識だが、JRの場合、距離と運賃の関係は必ずしも一律ではない。私鉄との競合がある路線を中心に、一部区間に「特定区間運賃」が定められており、距離に対して割安となるのだ。
たとえば渋谷駅から吉祥寺駅まで、JR山手線と中央線を使って移動したとする。両駅間の営業距離は15.6kmなので、もし「特定区間運賃」がなければ運賃は320円かかる。
ところが渋谷駅と吉祥寺駅の間には、私鉄の京王井の頭線も走っている。こちらは路線距離が短く、運賃200円で移動できてしまう。そのままではお客が全部京王線に流れてしまうため、JRもこの区間の運賃を特別に割安な220円に設定し、京王電鉄に対抗している。
この「特定区間運賃」は定期券の金額にも反映されるので、「割安になる区間」だけをうまく分けることで総額を安く抑えられるというのが、今回説明するカラクリだ。私鉄と競合する区間が通勤経路に含まれる場合には、これを行うことで運賃がグンと安くなるケースが多い。
この制度はJR東日本のほか、東海・JR西日本の大都市圏、その他一部私鉄にも類似のものが存在する。