若者の“腕時計離れ”は本当か?セイコーに直撃した
かつては高価な腕時計をつけることが、一流のビジネスマンとしてのステータスと言われていた。しかし、スマホの普及や格差の拡大に伴って、若者たちの間では“腕時計離れ”が広がりつつある。
インターワイヤード株式会社が運営するネットリサーチのDIMSDRIVEが、20代以上の男女3796人を対象に行った「腕時計」に関する意識調査によれば、「外出の際に腕時計をつける人」は全体の43.7%にとどまっている(2018年4月20日~5月11日実施)。
こうした昨今の若者離れに対して、腕時計業界がどのような戦略を取っているのだろうか。大手時計メーカー、セイコーウオッチ株式会社の広報宣伝部、有馬広智さんに話を聞いた。
“腕時計離れ”は本当に起こっているのか
――早速ですが、若年層の“腕時計離れ”に関してはどのようなご認識をお持ちでしょうか。
有馬広智(以下、有馬):やはり以前に比べて、若年層を中心に腕時計を着用している方は少なくなっていると思います。理由としてはやはり、スマートフォン・スマートウォッチなどのデジタル端末が普及していることが大きいでしょう。
――最近は、ビジネスシーンでもスマートウォッチを使っている方を多く見かけますね。
有馬:デジタルネイティブな世代の方々は、腕にデジタル端末がついていることの違和感も少ないのかなと思います。また、若年層の方々は腕時計にかけるお金がどうしても限られてしまうために、多機能なスマートウォッチに流れているのかもしれません。
――やはりこういったデジタル端末の台頭は、危惧していたのでしょうか。
有馬:当社としてはそこまでネガティブに捉えておらず、先ずはそういった端末を通じ若年層の方々にも「腕に時計を付ける感覚」を知っていただき、当社の商品に興味を持ってもらえればと考えております。
このような“ステップアップ需要”は業界全体が意識しているところだと思います。各社ともスマートウォッチや普及価格帯モデルとの差別化で、「高品質」「高付加価値」といったブランディングが進んでいます。