「妊婦には任せられない」職場のマタハラを防ぐには?
職場におけるハラスメントが注目され、重要な経営課題であると考えらていることはみなさんご存知のとおりです。
職場のハラスメントとして主に問題となるものに、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントと並んでマタニティハラスメントがあります。今回はマタニティハラスメントについて取り上げてみたいと思います。
マタハラは法律でどう禁じられてる?
マタニティハラスメントについてはどのような法律の定めがあるのでしょうか。
「男女雇用機会均等法第9条」では、妊娠・出産を理由とるする不利益取扱い(解雇、労働契約の更新をしない、降格など)の禁止を事業主に義務付けています。また、同じく「男女雇用機会均等法第11条」で、妊娠・出産などに関するハラスメント防止のために、雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けています。
さらに「育児・介護休業法第10条」では、育児休業などを取得したことを理由とする不利益取扱いの禁止、同じく「育児・介護休業法第25条」で、育児休業などに関するハラスメント防止のために雇用管理上必要な措置を講ずることを事業主に義務付けています。
2016年には「マタハラ指針」と呼ばれるガイドラインも策定され、職場におけるマタニティハラスメント防止のためのより具体的な内容が明らかにされています。
育児休業を使わせてもらえない
マタハラとは、職場において行われる上司・同僚からの言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業などを申出・取得した男女労働者の就業環境が阻害されることと定義され、2つの類型に分類されます。
1つ目は「制度などの利用への嫌がらせ型」です。妊娠・出産に関わる制度(産前産後休業、育児休業、所定外労働の制限など)の利用に関する言動により、妊娠・出産した労働者の就業環境が害されるものです。具体的にはどのような言動が該当するのでしょうか。
● 妊娠・出産したA子さんに、社長や上司が「休みをとるなら辞めてもらうしかない」などと言うこと。同僚が「A子さんだけ残業をしないなんて、周りに迷惑だ」などと言うこと。
● 育児休業を取得した男性従業員Bさんに、同僚が「男のくせに育児休業をとるなんてあり得ない」などと言うこと。上司が「次の査定で昇進はないと思え」などと言うこと(いわゆるパタニティハラスメント)。