大戸屋は「バイトテロ謝罪会見」で成功。ネット炎上する/しない企業の違いとは
平成の時代を振り返ろうとして、切っても切れないキーワードが「炎上」だろう。SNSが普及した2000年代後半からテレビや新聞などのメディアでも使われるようになり、今やすっかり市民権を得た言葉だ。
2018年1月12日に改定された『広辞苑』(岩波書店)第7版では、本来の「火が燃え上がること」のほかに「インターネット上で、記事などに対して非難や中傷が多数届くこと」という新たな意味が加えられた。
平成最後? 令和初の炎上が早くも発生
韓国のガールズグループ・TWICEのサナ(22)は平成最後の日である4月30日、「平成生まれとして、平成が終わるのはどこかさみしいけど、平成お疲れ様でした!!!」「令和という新しいスタートに向けて、平成最後の今日はスッキリした1日にしましょう!」と、日本語でSNSに投稿した。これに対し、韓国のネットユーザーたちは「韓国のアイドルなのに、公式アカウントに日本語でコメントすべきではない」「韓国の光復節(8月15日、韓国の終戦記念日)には言及もないのに、日本の天皇退位をなぜする必要があるのか」などの批判を寄せた。
たしかに、TWICEは韓国発のアイドルグループだが、メンバーには日本人もおり、サナは大阪府出身。日本国内でも活動しているため、同じファンの間でも批判に対し、「見当違いでは…?」と擁護する向きもある。
炎上に巻き込まれるのは芸能人やアイドルだけではない。平成の時代を思い出しても、有名・無名問わず多くの一般企業が巻き込まれてきた。もっとも当時は、ネットがそれほど普及していないため、「不祥事」「スキャンダル」と呼ばれたが――。
平成を通じて炎上はどのように変化したのか
企業の炎上対策など危機管理コミュニケーションを行うK&Dコンサルティング株式会社の石川眞吾氏は、平成という時代から見た、炎上騒動についてこう語る。
「平成初期は、マスメディアの報道→インターネット上での炎上という順番だったものが、平成中期になると、インターネット上での記事にリンクが張られ、SNS上で炎上するという『ネット上で炎上が完結する』仕組みができあがりました。これにより企業のみならず、芸能人のブログや、犯罪行為を自慢する個人アカウントも炎上するような変化が生じたのです」
さらに、平成後期になると、誰の目から見ても明らかな犯罪・不正行為だけに炎上の対象がとどまらなくなってきたという。
「平成後期からは『不快なCM』『テレビでのタレントの発言』『メディアの偏向報道』など議論が分かれるような内容が炎上の対象となり、さらに、こうした炎上がきっかけで企業側やテレビタレントも自身のアカウントに“突撃”されるケースも増加しました。もともとメディアが炎上の火付け役だったのが、平成後期には火種を自身が持つ存在になり、ネット上の炎上の増幅装置になるケースが多くなっています」