「フラれた」を英語で言える?学校で習わない「受動態」の使い方
受動態はこんな意味もある
だからといって、受動態が常にマイナスのイメージとは限りません。受動態の持つ3つ目の隠された意味は、不必要な言い争いを避ける点にもあります。例えば、同僚の指示が曖昧で、何かの誤解をしてしまったとします。
そんな時、上司に対してJonathan misled me to believe the project was due tomorrow.「プロジェクトの締め切りは明日だと、ジョナサンが私に誤解させました」と言ったら、ジョナサンの顔に泥を塗ることになるかもしれませんし、人間関係に悪影響が出るかもしれません。
「人のせいにして」と上司から自分がマイナスの評価を受けてしまうかもしれません。
その代り、I was misled to believe the project was due tomorrow.「プロジェクトの締め切りは明日だと、私は誤解してしまいました」と言うと、少しだけ柔らかくなります。自分の責任だけにしているわけではないですが、主語がI(=自分)になっただけで、少しだけジョナサンの責任の度合いを割り引いている感があります。
曖昧さが出るのは便利だけど…
上記の例で、ジョナサンの名前に言及しなくても済む、というのは、同時に曖昧さを残すことにもなります。能動態の文章では、主語が明確になります。
受動態では「誰が」の部分に言及せずに文章として成立させることができます。あえて曖昧さを出すには便利ですが、だからこそ、「能動態で書ける文章は、能動態を使いましょう」「受動態はできるだけ避けましょう」と多くの英語ネイティブスピーカー用の英作文の教科書にも書かれています。
自分の話す、書く英語を振り返ってみて、受動態を使い過ぎていないか考えてみるのもよい英語の訓練になるかもしれません。
<TEXT/木内裕也>
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